2026年3月24日、Vortexは左右分割トラックボール付きキーボード「M50」を発表しました。

上記タイミングで発表したということは、キーボードマーケットトーキョー2026での展示が期待されていましたが、やはり展示してありました。

M50は明確に「日本のDIYキーボードシーンをフィーチャーして開発しており、日本での販売に重点を置いている」とのことです。
本記事では、キーケットVortexブースで伺ったM50の詳細についてお伝えしていきます。
Vortex M50の概要
まずはM50の概要について確認しましょう。

| 項目 | 現時点で確認できる内容 |
|---|---|
| 製品名 | Vortex M50 |
| タイプ | 分割ワイヤレスキーボード |
| カラー※ | シルバー・ベージュ |
| ケース※ | アルミニウムCNC削り出し |
| マウント※ | スイッチプレート一体型トップマウント |
| スイッチプレート※ | アルミニウム(1.3mm厚) |
| レイアウト | Split Ergo |
| キーキャップ※ | VTGプロファイル(ロープロファイル) |
| キー数 | 55キー |
| ホットスワップ | 対応 |
| トラックボール | 34mm |
| エンコーダー | 搭載 |
| ファームウェア | ZMK |
| 接続 | Bluetooth |
| 左右間接続 | 完全無線 |
| バッテリー | 1000mAh × 2 |
| 対応OS | Mac / Win |
| 対応スイッチ | Gateron LP 3.0 / Kailh Choc v2 |
| 商品ページ上のスイッチ表記 | Low Profile Silent Red / Low Profile Brown |
| 販売状況 | Sold out / In progress |
| 価格 | 0.00 USD表示 |
上記情報はあくまでも聴取ベースに基づきます。実際の商品は変更される可能性があります。
Vortex M50ハンズオンレポート

それでは早速、M50の実機について見ていきましょう。
M50は左右分割カラムスタッガードレイアウトを採用したロープロファイルメカニカルキーボード。
上下2ピース構造となっており、トップケースとトッププレートを兼用しています。
ケース外側側面にはUSB Type-C接続口がありますが、左右間通信およびPCとの通信が完全無線接続となっているところを見ると、内臓バッテリーの充電用かもしれません。※

打鍵感はアルミトップマウントとなっているため、沈み込みもなくかなり硬めな印象。
製品版ではクッションフォームを入れることも検討するとのことですが、展示品はフォームが入っていないためケースないでの金属的な反響音が目立ちました。
スイッチはKailh choc v2およびGateron LP 3.0に対応するとのとこで、おそらくはマルチソケットPCBとなる見込みです。※
この二つのキースイッチが同時にりようできる構造はGreenkeys編集部では確認したことがありません。
この二つのキースイッチを一つのスイッチプレートで対応するため、プレートの厚さは1.3mmに設定したとのことです。
この構造は非常に参考になります。

左手側にはロータリーエンコーダーノブが搭載されています。

ロータリーエンコーダーノブに関しては、現時点では樹脂製ですが、製品版ではアルミニウム製に変更される可能性があるとのこと。※
右手側を見ていきましょう。
右手側中央手前部分には34mm径のトラックボールが搭載されています。
トラックボール自体はケースに埋め込まれている形ではないため、このアングルからだとかなり高さがあることがわかります。
トラックボール支持球はジルコニア、3点支持となっており、トラックボール自体はトラックボールケース上面の蓋を外して上から交換するスタイルです。
操作性とのトレードオフにはなりそうですが、高さのみで見ればおそらくは25mmの方が好まれそうな印象です。

編集部で最も気になったのは右手側だけに開けられた手前側のスペースです。
なんとこのスペース、トラックボールを移設できるような機構を検討中で空けているとのことでした。
つまり、好みに応じてトラックボールポジションを選べるようになる可能性があるようです。※

また、キーレイアウトについて伺うと、現状の50%レイアウト以外にも数字行を廃した40%レイアウトも検討中の様子。※
やはり一般的に使用されるキーレイアウトの下限は60%程度であり、それ以下はキー数が物理的に減少しレイヤー操作が必須となるためスイッチングコストが高くなる傾向があると編集部では考えています。
加えて、普段利用する機会が限られるカラムスタッガードレイアウト(縦ずれ)となっていることも、スイッチングコストを高める要因の一つとなっています。
これらを踏まえると、50%程度が入門用には望ましいのかもしれません。
一方で、自作キーボードの文脈で見ると、moNa2(30%レイアウト)やKeyball44(40%)が好んで使われている状況を考えると、さらに「ニッチな層」は50%は大きすぎると考える可能性があります。
そういった意味合いでは、40%レイアウトの「M40」を用意する意味は、販促戦略という観点では大きいのかもしれません。※

カラーリングについては、現時点では二種類。


まとめ|Vortexの日本市場での存在感に注目

以上、Vortex M50について、ハンズオンベースで見えてきたポイントをお伝えしてきました。
編集部では、この製品に二つの意味を感じています。
一つは、日本の自作キーボードシーンから広がってきたスタイルが、メーカー製の「完成品」として形になろうとしていることです。
トラックボール付きの左右分割、カラムスタッガード配列といった要素は、これまでヨーキース氏が設計した「Keyball」を祖とする自作キーボードの文脈で育ってきました。
さらにKeyballの系譜を辿ると、foostan氏が設計したCorne、設計思想の面で影響力を持つKurauchi氏が設計したHelix、そして近年の話題となったCorneをインスパイアした完成品キーボード「Cornix」などを見ても、日本発の分割・小型キーボードの流れは、確実に広がり続けています。
その流れを、海外メーカーであるVortexが「完成品」として受け止め、日本市場向けの製品として打ち出そうとしている。
ここに、M50の面白さがあります。
もう一つは、Vortexが日本市場を改めて強く意識し始めているように見えることです。
Vortexは、日本市場でまったく新しい存在ではありません。過去にはアーキサイトが国内代理店として製品を展開していましたが、現在アーキサイト公式サイト上ではVortexgearは「取扱終了ブランド」として整理されています。
一方で、Vortex本家ストアは日本向けリージョンを用意し、M50も“進行中”の製品として掲載しています。
つまり、日本市場との接点はいったん細くなりつつも、現在は代理店主導ではなく、ブランド自身が改めて日本のユーザーと直接つながろうとしている段階にあるのかもしれません。
さらに、Vortexは2025年12月26日にJapan Lauout Allianceへ参加しています。
現時点で日本語配列モデルの具体的な展開は見えていないものの、日本市場を意識した動きとしては十分に注目に値します。
日本のキーボード市場は、海外メーカーがそのまま製品を持ち込めば受け入れられるほど単純ではありません。
配列、サイズ、使い方、そして文化的な文脈まで含めて、独自の蓄積があります。
だからこそ、その日本市場に対してVortexがどう向き合おうとしているのか。
M50は、その入口としてとても興味深い製品に見えました。
今後、これが単発の試みで終わるのか、それとも日本のキーボード文化を踏まえた継続的な製品展開につながっていくのか。
Greenkeysとしても、Vortexの次の動きを引き続き追っていきたいと思います。
- 初版執筆日:2026年4月4日
- 最終更新日:2026年4月4日
- 取材方法:キーケット2026での現地取材
- 参照・引用元:https://vortexgear.store/en-jp/products/m50
- 利益相反:商品提供:なし 本稿収益化リンク:なし

