自作キーボード界隈だけでなく、「パソコン操作を一つのデバイスで完結させる」ことを念頭に置いて設計されたデバイスは複数存在します。
それは、自作キーボード界隈ではよく見る「トラックボール操作+キーボード操作」のものであったり、HHKB StudioやLenovo Trackpointのようなポインティングスティックを用いたものなど、様々です。
一方で、トラックパッドと一体化した入力デバイスというのはあまり見かけません。
Futabaは、トラックパッドを中央に配置したカラムスタッガードレイアウトの40%キーボードであり、「トラックパッド+入力デバイス」の融合の完成形とも言えます。
前作「Timothy」の特徴である「一段下がった親指クラスタ」を継承しつつ、ロープロファイルスイッチを採用、4本指まで対応したマルチトラックパッド、大型ホイールなどの要素を詰め込んでかつ、打鍵感にも徹底的にこだわり抜いた意欲作です。
本記事では、Futabaがもたらす新しい入力体験の魅力についてお伝えします。

免責事項
本コンテンツで紹介するキーボードは個人が制作している「自作キーボードキット」です。個人が趣味の範囲で作成したものを「頒布」しているものであり、工業製品とは明確に異なります。商品について問題が生じた場合においても、入手した者の責任によりリカバリーする必要がある点についてはご理解ください。また、本キットのケースで利用している「 JLC3DPのスプレーペイントオプション」に関しては、あくまでも「塗装サービス」です。指定可能なカラーであればカラーの変更を受け付けることもできますが、光沢フィニッシュにした場合など、塗装に割れが生じる可能性があり、完璧なものではない点についてはご承知おきください。また、個人で注文したJLC3DP製造の3DP製品の不具合(変形や破損)についての責任の所在は、製造者に帰属します。

- 「トラックパッド」+「カラスタレイアウト」で手の動きが最小限でパソコン操作が可能
- サムクラスタが下がっていることで快適にタイピングができる
- フレックスカットと吸音材による柔らかな打鍵感が魅力的
- ケーブルの取り回しがやりやすい
- (免責事項)3Dプリント製ケースの仕上がりに注意が必要
- 特殊配列への慣れが必要
- 環境によってはトラックパッドの解像度が気になるケースも
- スイッチプレートがないためキーキャップ交換時にキースイッチが抜けてしまう
本ページには広告が含まれます。メーカーから提供を受けた製品・リンクを含む場合がありますが、編集方針に基づき、公平な検証と明確な開示を行います。

Greenkeys Editor-in-Chief/Web Writer
Founder of Japan Layout Alliance (JLA)
日本のキーボード専門メディア「Greenkeys」の編集長です。
メカニカルキーボード、自作キーボード、入力デバイスに関するレビュー・取材・検証・撮影・計測・執筆を一貫して担当しています。
これまで100製品以上のキーボードや入力デバイスをレビューし、日本語配列キーボードの互換性問題に関する情報整理と市場解説を行っています。
また、日本語配列キーボードの互換性標準化を目的とした業界連携プロジェクト Japan Layout Alliance(JLA) を設立し、国内外メーカーと協力した活動を進めています。
Greenkeysでは、編集の独立性と透明性を重視しており、提供品・広告・アフィリエイトの有無について記事内で明示しています。
価格・販売形態・入手性
- 入手性:★☆☆☆☆(入手できたらラッキー)
- 価格帯:11,000円(税込)から
- ケースなしキット|11,000円(税込)
- ケースのみ|14,000円(税込)
- ケースありキット(ハンダつけ必要)|24,000円(税込)
- ハンダつけ済みキット|32,000円(税込)
- 販売形態:入荷時やイベント時に販売
- 再販予定:未定
- 入手先:うさきーぼー堂(ウェブショップ)
-対応スイッチ|Kailh ChocV1/ChocV2(ホットスワップ)
本キットとは別に必要なパーツ
– Kailh ChocV1もしくは、Kailh ChocV2スイッチ x 49個
– Low Profile対応1Uサイズキーキャップ x 49個
(はんだつけが必要な場合はハンダつけ用具一式が必要)
Futabaのスペック概要

Futabaは、持ち運びやすさを重視した一体型40%キーボードでありながら、トラックパッドや巨大ホイールといった強力な操作インターフェースを凝縮したモデルです。
設計には、打鍵時の衝撃を和らげる「フレックスカット」を施したPCBと、クッションで基板を保持する「スタックマウント」を採用しており、ロープロファイルながらも驚くほど柔らかな打鍵感を実現しています。
また、前作「Timothy」の設計思想を受け継ぎ、親指クラスタを一段下げることで、長時間の作業でも疲れにくいエルゴノミクスデザインを追求しています。
トラックパッド中心にして、左右に葉っぱのように置かれたカラムスタッガードレイアウトが「ふたば」を連想させる優しい印象を持つキーボードとなっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | Futaba (フタバ) |
| 販売・設計 | うさきーぼー堂 (geek-rabb1t) |
| カテゴリ | 一体型 40% キーボードキット (Trackpad搭載) |
| 配列 | カラムスタッガード(縦ずれ配列) / 49キー |
| キースイッチ | ロープロファイルスイッチ対応(Kailh Choc V1/V2) |
| 販売形式 | 自作キーボードキット(はんだ付け済み版あり) |
| MCU | RP2040-Zero |
| キーマップ変更 | 対応(Vial対応) |
| 接続方式 | 有線接続(USBコネクタ隠し構造 / 3方向ケーブルガイド) |
| マウント方式 | スタックマウント(クッション保持) / フレックスカットPCB |
| ケース素材 | 3Dプリント(JLC3DPによるスプレーペイント) |
| チルト・テンティング | 4度テント / 4度チルト(親指クラスタは一段低い設計) |
| 特徴的な機能 | 最大4本指対応トラックパッド、クリック可能な巨大ホイール |
| 価格 | ¥11,000〜 ¥32,000(キット内容によって変動) |
| 製品ページ | BOOTH – うさきーぼー堂 |
※本製品は自身での組み立て(はんだ付け)が必要なDIYキットです(はんだ付け済み版を除く)。
※スイッチ、キーキャップは別途用意が必要です。
購入前チェックリスト
Futabaは組み立てを前提としたキットです。購入前に、以下の物品が揃えられるか確認しておくとスムーズです。
■ 必須(キットに含まれないもの)
- キースイッチ:Kailh Choc V1 / V2、またはLofree Low Profile × 49個
- キーキャップ:Low Profile対応 1Uサイズ × 49個
■ 組み立てに必要な工具
- はんだごて一式(はんだ付け済みキット以外の場合)
- 精密ドライバー(No.1/PH1サイズ)
- ニッパー、ピンセット、両面テープ
■ 注意事項
- 3Dプリント筐体:設計上の工夫はされていますが、多少の反りや塗装ムラは仕様です。
- 設置環境:スチールデスクなどの磁性体・導電体の上では、トラックパッドが誤動作する可能性があります。
レビュー環境
レビュー環境は下記の通りです。
- 接続環境:macOS
- 使用スイッチ:Kailh Taro IceCream MINI Linear(40gf)
- レイアウト:40%カラムスタッガードレイアウト
- 主な用途:コンテンツ執筆(日本語のタイピング)
キースイッチスペックはこちら▷▷

- TaroアイスクリームMINI(リニア)
- タイプ:3ピン
- トータルトラベル:2.8±0.25mm。
- 動作力:40±10gf
- アクチュエーショントラベル:1.2±0.3mm。
打鍵感・打鍵音の評価
- 打鍵音の大きさ:★★☆☆☆(通常のリニアスイッチを利用してもかなり静か)
- 音の高さ:やや高い
- キーの重さ:ー(利用するキースイッチによる)
- 底打ち感:ソフト
- キーのぐらつき:ー(利用するキースイッチによる)
Futabaの魅力
Futabaの魅力
- 「トラックパッド」+「カラスタレイアウト」で手の動きが最小限でパソコン操作が可能
- サムクラスタが下がっていることで快適にタイピングができる
- フレックスカットと吸音材による柔らかな打鍵感が魅力的
- ケーブルの取り回しがやりやすい
「トラックパッド」+「カラスタレイアウト」で手の動きが最小限でパソコン操作が可能

やはりFutabaの最大の魅力は、トラックパッドを使用したオールインワンデバイスという部分でしょう。
トラックパッド操作時はホームポジションをキープし続けることは難しいものの、最小限の手の動きでタイピングすることが可能です。
特に、分割型のパームレストを用いているようなケースでは、手首の位置を全く動かす必要がない点は大きな魅力と言えます。
また、大型ホイールは親指で簡単に動かせるようになっており、奥側へ押し込むとスイッチとして機能するギミックも搭載されています。


Kawamura好みの問題にはなりますが、個人的にはFutabaは打ち下ろした方が好みだったため、高さ1.5cm程度の分割パームレストを使用してタイピングをしています。
サムクラスタが下がっていることで快適にタイピングができる
Futabaの大きな魅力のひとつとして挙げられるのが、サムクラスタ部分が一段下がっていることでしょう。

このおかげて、自然と親指の位置が下がり、より楽なポジションでサムクラスタの操作をすることができます。
また、これを実現している機構もすごい。
厚さわずか0.8mmのフレックスカット基板を用いることで、フレキシブルケーブルなしの一枚基板でこの機構を実現しています。

フレックスカットと吸音材による柔らかな打鍵感が魅力的
Futabaは圧倒的に打鍵感が柔らかく、「気持ち良い」タイピング体験が魅力です。

あえてスイッチプレートを用いない構造となっており、通常のリニアキースイッチでも、タイピングの仕方によってはほとんどタイピング音が気にならないでしょう。
加えて、柔らかな底打ち感覚は唯一無二の魅力と言えそうです。
ケーブルの取り回しがやりやすい
Futabaは有線接続専用です。
Type-C接続部分がかなり奥まった部分に位置しているのが特徴となっており、なんと、3方向へケーブルを逃すことが可能です。

Kawamura使用するケーブルの直径には注意が必要ですが、ケーブルの取り周りが楽になりそうな工夫ですね。


Futabaの気になった部分
Futabaの気になった部分
- (免責事項)3Dプリント製ケースの仕上がりに注意が必要
- 特殊配列への慣れが必要
- 環境によってはトラックパッドの解像度が気になるケースも
- スイッチプレートがないためキーキャップ交換時にキースイッチが抜けてしまう
(免責事項)3Dプリント製ケースの仕上がりに注意が必要
Futabaで利用しているケースは「JLC3DP」という事業者へ発注しているのもとなっており、一般的な「工業クオリティ」の塗装製品とは異なります。
この部分については、販売ページの免責事項にも記載がありますので、確認してから注文するようにしてください。

Kawamuraこれまでの経験をもとに主観的な観点でお話しすると、光沢仕上げの方が塗装剥がれやクラックが起きやすい印象です。
ケースを自身で発注される方は、ペイントが不要な素材にする、もしくはマット仕上げを選ぶなどの工夫ができます。
特殊配列への慣れが必要
Futabaは通常のキーボード配列(ロウスタッガードレイアウト)とは異なり、カラムスタッガードという「縦ずれ」のレイアウトとなっています。
加えて数字行を持たず、右手側のキー数が少ない「40%レイアウト」となっているため、通常のキーボードからのスイッチングコストが大きく、慣れるまでには相応の時間が必要です。

Kawamura実はこの「できない期間」も含めて楽しめるのが自作キーボードの面白さです。
環境によってはトラックパッドの解像度が気になるケースも
Futabaで採用しているトラックパッドに関しては、同時に使用している「Apple Magic Trackpad」と比較すると、若干動き出しのレイテンシー(遅延)が気になりました。
これに関しては、自身の感覚にフィットするように設定ガイトを見ながら自分自身で調整する必要があります。
参考:https://geek-rabb1t.github.io/futaba/customize_guide

スイッチプレートがないためキーキャップ交換時にキースイッチが抜けてしまう
Futabaは、フレックスカットによる親指を一段下げる構造/打鍵感を柔らかくする思想をベースに作られていると考えられます。
また、基板をケースに嵌め込むと、基板自体が緩やかなカーブを描いているため、通常のFR4やPCなどの素材を用いた「一枚板のスイッチプレート」を使うことができません。
Kawamurachocスイッチを採用した場合、スイッチプレートの厚さは1.2mm程度にする必要がありますが、その厚さでは硬すぎて曲面には対応できないものと考えられます。

よって、このようにスイッチフォームにキースイッチ自体をはめ込み、ホットスワップソケットに挟み込む形でキースイッチを固定しています。
通常、キースイッチはキースイッチが持つ「返し構造」により、スイッチプレートに固定されますが、Futabaの場合固定されていない状態です。
そのため、キーキャップ交換の際に抜けてしまうのは、仕様上避け難いと言えます。
【写真で見る】Futabaレビュー
それでは、実際のFutaba実機について見ていきましょう。
今回提供していただいたのは「ハンダつけ済み」キットです。
内容物は、ハンダつけ済みキーボード本体、ショップ名刺、滑り止めの三点です。



通常のキーボードとは異なり、スイッチプレートレス仕様です。
スイッチ固定はクッションフォームとホットスワップソケットで行います。





トラックパッドの下には水平に回るロータリーエンコーダーが仕込まれており、大型のスクロールホイールで操作可能です。


後述しますが、この部分は奥側へ押し込むことで、仕込まれたマイクロスイッチがクリックされるというギミックを持っています。

続いて裏面を見ていきましょう。
M3サイズのタッピングビス8箇所で止められています。
特徴的なのが有線接続に使用するType-C接続口がかなり奥まった部分に配置されている点です。

このように、ケーブルを差し込むと3方向へケーブルの出し口が選択できるようになり、デスクによってケーブルの取り回しが良くなるように配慮された設計となっています。



キースイッチをはめていきましょう。
今回は、Amazonでも比較的入手しやすい「Kailh Taro IceCream MINI」をチョイスしました。

後述しますが、構造上、キースイッチプレートを採用しない構造となっており、スイッチはホットスワップソケットとフォームで挟み込んでいる状態です。
よって、キースイッチ交換時にはキースイッチごと抜けるのは「仕様」ですので、購入前には事前に確認しましょう。

キーキャップに関しては、Jezail Funder Japan x Yamatake LAK Kotori Shimaenaga(非売品)をチョイス。
t_yamanakさんより使用許諾をいただき、Shimaenagaデザインを LAKキーキャップにも適用できることになりました!今後は、各種イベントやキャンペーンの限定ギフトとして皆さまにお届けする予定です。
— JezailFunder Japan (@jezailfunder_jp) December 4, 2025
📢今回の記念として12月6日までに
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やはり特徴的なのがこの「サムクラスタが一段下がっている」ことでしょう。


前作のTimothyから引き継いだこのギミック。
前回が基板を別にしてフレキシブルケーブルで繋いでいたのに対し、Futabaではなんと「一枚の基板」でこの機構を実現しているのには驚きました。
その秘密がこの0.8mm厚のフレックスカット基板です。


底面に配置したボトムケースと、緩やかにアールを描いたトップケースで挟み込むと、うまい具合に基板が湾曲・親指部分だけ一段下がる形に設計されていました。


また、ロータリーエンコーダー部分のギミックも注目です。
ロータリーエンコーダー自体にはクリック機構が付いていないのですが、ロータリーエンコーダーを構成している部分が離小島のようになっており、ジグザク状の橋で繋がっているような構造になっています。

そして、別途この3Dプリント製のパーツを装着すると、奥側に仕込んだマイクロスイッチが押し込まれる、という仕組みになっていました。











まとめ

以上、うさきーぼー堂がリリースする一体型40%トラックパッド付きカラムスタッガードレイアウトキーボード「Futaba」について紹介してきました。
おそらく、ポインティングデバイス搭載のオールインワンキーボードで言うと、トラックパッドが最も一般的なのではないでしょうか。
Kawamuraポインティングスティックやトラックボール付きのオールインワンキーボードと比較すると、「いつも使っている感じ」が大きいように思います。
一般ユーザーが利用するには若干ハードルは高めのレイアウトとなっていますが、物理レイアウトやキーマップの変更も含めて、楽しむことができる「体験型」のキーボードと言えるでしょう。
気になった方、ぜひ商品ページもご覧ください。

- 初版執筆日:2026年2月15日
- 最終更新日:2026年2月15日
- 取材方法:商品提供
- 参照・画像引用元:https://booth.pm/ja/items/6631691 など
- 利益相反:商品提供:あり 本稿収益化リンク:なし

