NuPhyのロープロファイルメカニカルキーボードもついにガスケットマウントを採用です。
NuPhy Air75 V3は、NuPhyがリリースするロープロファイルメカニカルキーボードの第三弾。
65%/75%/96%がラインナップされるAirシリーズは、これまでに2度の改良を重ねて進化してきました。
3度目の改良として最初に「V3」となった75%レイアウトの「Air75 V3」は、近年打鍵感が良好ということで流行している「ガスケットマウント」を採用し、従来の「弾けるような高音が特徴的な打鍵音(Clacky)」から「鼻がかかった低音が特徴的な打鍵音(Thocky)」へ変更された点は、大きな転換点になったと評価しています。
加えて、本作から待望の「日本語配列」が採用されたのは、日本人にとって非常に嬉しいポイントの一つではないでしょうか。
本記事では進化したロープロファイルメカニカルキーボード「NuPhy Air75 V3 JIS」についてレビューしていきます。

- 英語配列と日本語配列が選択できる
- 打鍵感と打鍵音が素晴らしい
- キーボードとしての完成度がブラッシュアップされている
- NuPhy IO 2.0対応基板搭載で使いやすい
- 前作の打鍵音が好きな方にはおすすめできない可能性あり
- 重量が増したため持ち運びに不便になった
- Gateron LP 2.0との後方互換なし
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NuPhy Air75 V3の概要
まずは、NuPhy Air75 v3の概要について見ていきましょう。
販売価格
28,600円(税込)
-英語配列・日本語配列共通
技術仕様
- レイアウト:75%
- ANSI(英語配列)-84keys
- JIS(日本語配列)-88keys




- ティルトアングル:4度/8度/10度

- キースイッチ:Low Profile-Gateron LowProfile 3.0
- Red nano(Linear 45gf)
- Brown nano(Tactile 50gf)
- Blush nano(Silent Linear 42gf)

サイズと重量
- 長さ:318.9 mm
- 横幅:128.9mm
- 高さ :13.2mm
- 重量:724g


その他スペック
- スタビライザータイプ: プレートマウント
- マウントタイプ: ガスケット
- ホットスワップ対応: 〇
- Nキーロールオーバー対応: 〇
- バックライト: South-facing RGB-LED
- バックライトモード: 20
- 対応システム: macOS/Windows/Linux/Android/iOS
- 動作環境: -10~50℃
- 接続モード:2.4GHz、USB-C有線、Bluetooth5.0
- 有線ポーリングレート: 1000Hz
- 2.4GHzポーリングレート: 1000Hz
- Bluetooth 5.0ポーリングレート:125Hz
- トップケース: アルミニウム
- ボトムケース: ABS
- プレート素材:PC
- キーキャップ:ダブルショットPBT
その他注目点
- バッテリー残量表示インジケーター
- リズムRGBライトバー
- 4000mAhの大容量バッテリー
- ロータリーエンコーダー搭載可能
- ガスケットマウント
- 吸音フォーム搭載



【写真で見る】NuPhy Air75 V3 JIS(日本語配列)レビュー
それでは早速、Air75 V3の実際の写真を見ていきましょう。
まずは外箱から。
NuPhy特有の立体感のあるキーボードがプリントされた外箱に入っています。
JISモデルでもANSIモデルでも同様の外箱に入っていると推察されます。
シンプルな外装はApple製品を思わせますね。


開封。
キーボード本体は下のスペースに収まっており、上スペースはアクセサリー類が収納されています。

内容物は、キーボード本体、Type C(A) to Cケーブル、ロータリーエンコーダー基板、ロータリーエンコーダーノブ2種類、精密六角レンチ、キーキャップ/キースイッチプラー、取り扱い説明書、交換用キーキャップとなっています。

これまでのNuPhy製品の付属ケーブルは、Type A to Cケーブルでしたが、今回からType C to Cケーブルとなっており、ケーブルと同系色のType C to A(メスーオス)変換アダプターが装着されたものへ変更となっています。

これはほとんどのMac製品がデフォルトでType A端子を廃止し、Type C端子を標準採用したことに合わせたものと見られます。
こう言う変化は地味に嬉しいですね。

キーボードの外観を見ていきます。
白を基調としたキーキャップにアクセントの緑、黄色、赤の差し色が非常に映えます。

アクセントカラーの緑色は、パステルトーンとなっており、絶妙におしゃれな色合いです。

今回のモデルから、アルミニウムトップケースが採用されました。
メッシュの細かいビードブラスト仕上げとなっており、マットな風潮はApple製品のそれにかなり近い印象を持ちました。

先ほどのEsc部分の装飾キーキャップの左横には、リズムRGBライトバーがさりげなく搭載されています。

今回レビューするモデルは、Air75v3モデルから採用ラインナップされた「JIS(日本語配列)」モデルとなっており、日本人に馴染みのあるレイアウトとなっています。

これを待っていたという方は多いのではないでしょうか。
ANSIベースのケース外径の中に日本語配列レイアウトを落とし込む関係上、Z行のズレは通常よりも0.25u左へずれています。
これは、Lofree Flow Lite JIS/HHKB日本語配列/Realforce RC1 JIS/MX Mechanical Miniと同様のズレです。

MacとWindowsに対応すべく、スペースバーの横には「英数/かな」・「変換/無変換」に対応するアイコンキーが搭載されており、Windows日本語配列用の「KANA」キーも用意されています。
macOSの場合はかなキーは不要となるため、キーマップを変更して別のキーへ変更することも可能です。
スペースバーの長さは「4.25u」となっています。

黄色のアクセントキーキャップは、どちらかと言うと黄色よりもオレンジに近い色味です。
その隣にはロータリーエンコーダーノブとキースイッチに交換できる構造になった部分が配置されています。

Enterキー周りをズームアップしてみましょう。

お馴染みの日本語配列Enterキー(ISOエンター)が装着されていますね。
右Shiftキーは「_ \(ろ)」の隣に位置しており、1uサイズです。

日本語配列で75%レイアウトとなると、やはり右シフトキーが小さくなってしまうのが課題ですね。
「↑」キーがホーミング付きとなっているため、手元を見なくても押し間違えることは少なそうです。
ロータリーエンコーダー横には、リズムRGBライトバーと対となる位置にバッテリーインジケーターが搭載されています。

このロータリーエンコーダー部分は、基板ごと交換することで、キースイッチに変更することが可能です。(デフォルトはキースイッチです)

手順通りに実施してみましょう。

右隅の4箇所のキーキャップを外して、精密六角レンチでネジを外します。

キースイッチタイプの基板と交換して、元に戻して終了です。

基板はスプリングを備えた接点が10個備わっています。

基板裏にそれぞれの接点に対応した銅箔がありますね。


スイッチソケットはCherry MX互換のものと形状が異なっていますが、接点自体は同一でした。
本体背面左側には、有線接続用のType C端子口と2.4GHz接続用のUSBドングルが収納されています。

本体右背面にはオフ↔︎有線接続↔︎無線接続の3wayスイッチと、Win↔︎macOSの切り替えスイッチがあります。

このスイッチは、キーマップ変更アプリ「NuPhy IO 2.0」と連動しており、各4レイヤーずつ設定が可能です。

通常のタイピングアングルは4度、ティルトレッグを起こすことで8度、10度と合計3段階分の調整が可能です。



底面を見ていきましょう。
底面は透明のABS素材となっており、底面に敷いているシリコンシートが透けて見えますね。

前述のように、ティルトレッグはデフォルトから2段階の調整ができます。



ボトムプレート部分には鏡面に「NuPhy」ロゴが入っているデザインとなっており、初代から継続して採用されている部分です。

底面はこのアングルからのルックスが一番好きです。
マット調のアルミニウムフレームにABS素材の透明なケース、中身が少し透けている部分にミラー調のプレートが絶妙にマッチしています。

滑り止め用のゴム足は横長タイプでしっかりと埋め込まれています。

Airシリーズのゴム足は持ち運んでいる時に接着部分が外れてしまうことがよくありましたが、これは大丈夫そうですね。
初代から比べるとゴム足の色もオレンジからグレーへと変化し、かなりシックな印象になりました。

続いてキーキャップを見ていきましょう。
キーキャップはnSAプロファイルを採用しています。
中央に向かって窪みがあるスフェリカルデザインとなっており、行によって傾斜の差はありません。

キーキャップの素材はPBT素材となっており、印字は昇華印刷(Dye-Sub)です。

スイッチは比較的肉厚で、コトコトとした打鍵音に貢献している印象です。

キースイッチは「GATERON LowProfile 3.0」を採用しており、Air V1/V2シリーズで採用していたGateron LP 2.0との互換性はありません。
ロープロファイル形状を保持しつつ、ストロークの最大幅が3.5mmに拡大されており、MXキースイッチと接点の位置が同じになったことが大きな変更点となっています。

今回から新たに、サイレントリニアキースイッチが採用され、オフィスユースも考慮されるようになりました。
サイレントリニアキースイッチのBlush nanoは42gfと比較的軽い押下圧となっており、ストロークも他2種と比べると3.2mmと短くなっているためより素早いタイピングができそうです。

NuPhy Air75 V3のメリット
私が実際に使用してみてわかったNuPhy Air75 V3 JISのメリットは下記の4つです。
- 英語配列と日本語配列が選択できる
- 打鍵感と打鍵音が素晴らしい
- キーボードとしての完成度がブラッシュアップされている
- NuPhy IO 2.0対応基板搭載で使いやすい
英語配列と日本語配列が選択できる

やはり、V3へ進化したAir75の一番の注目点は、日本語配列がラインナップされたことでしょう。


やはり、日本は「お国柄」ということもあり、市場に出回っているほとんどのキーボード、ないしノートパソコンやデスクトップパソコンのデフォルトキーボードは日本語配列です。
よって、英語配列キーボードに関しては「一部のキーボードマニア」が利用するくらいで、一般的ではありませんでした。

日本でメカニカルキーボードがあまり普及しない理由の一つだと考えています。
今回の日本語配列の販売には、日本販売代理店である三陽合同会社の働きかけが非常に大きいのではないでしょうか。
やはり、普段から利用し慣れているレイアウトで好きなキーボードを使えるということは、スイッチングコストゼロで利用することができます。
加えて、「Macでも問題なく日本語配列キーボードとして認識」してくれるのは、さすがNuPhyですね。

最近になって海外ブランドから日本語配列キーボードのリリースが多く利用する機会が多いのですが、問題なくmacOSに日本語配列キーボードとスムーズに認識できるキーボードはまだまだ少ないです。
そういった中でNuPhyはやはりソフトウェア面でかなり強みがあると感じました。
補足:実は日本語配列以外にも、ISO(ドイツ・イギリス・フランス)バージョンも存在します。やはり75%レイアウトモデルは売れ筋で、ローカライズ版をリリースしても採算が取れる計算なのうでしょうか。

打鍵感と打鍵音が素晴らしい
Air75 V3の打鍵音と打鍵感は前作から大きく方針転換し、ClackyからThocky方向へ全振りしました。
おそらく、競合ロープロファイルメカニカルキーボードのLofree Flow /Flow2、IQUNIXのMG80、MAGI65などを意識しての変更だと考えています。
v2ではトップマウントでしたが、v3ではガスケットマウントへ変更。
スイッチプレートには柔軟性に優れたポリカーボネートを採用しており、一層打鍵感に柔らかさを与えています。
加えて、吸音フォームを充実させて且つ、チープな打鍵感とならないようアルミニウムフレームを新たに採用したことで、競合他社の打鍵感と比較しても、Thockyジャンルでは引けをとらないくらいに進化していると評価しています。

キーボードとしての完成度がブラッシュアップされている

Air75v3は、キーボードとしての完成度がブラッシュアップされています。
新採用されたアルミフレームの造形は大変美しく、非の打ち所がありません。
底面のハーフスケルトンの造形も安っぽさがなく、ミラー素材との組み合わせもあり、高級感を感じます。

左右に配置されたLEDインジケーターの光り方も非常に上品で、ポップさを売りにしていた初代、二代目と比較すると、「大人向け」に進化した印象を持ちました。

NuPhy IO 2.0対応基板搭載で使いやすい

Air75 V3では、オリジナルWEBアプリ「NuPhy IO 2.0」でのキーマップ変更に対応しています。
できる内容については、VIAとそれほど大きく変わらないものの、やはり直感的に設定できるUIの作りこみが素晴らしいですね。
日本語配列にも対応しており、ファームウェアアップデートに関しても非常にスムーズに行えます。

海外ブランドの中でNuPhyのソフトウェア開発技術は、頭ひとつ抜け出ている印象を持っています。
NuPhy Air75 V3のデメリット
NuPhy Air75 V3は大変魅力的なキーボードというのは間違いありません。
しかし、購入する前に確認したい注意点もいくつかあります。
- 前作の打鍵音が好きな方にはおすすめできない可能性あり
- 重量が増したため持ち運びに不便になった
- Gateron LP 2.0との後方互換なし
前作の打鍵音が好きな方にはおすすめできない可能性あり
Air75V3は、Clackyが好きな方にはおすすめできません。
今回から、競合他社の方向性と競合する形で、ガスケットマウントを採用し、「コトコト系」の打鍵音へシフトしました。
V2が出た当時、Lofree Flowがリリースされてこともあって「NuPhy Airシリーズはうるさい」と対比的に言われていたこともあります。
ただし、それは世間の風潮が「コトコト寄り」だっただけで、当初からNuPhhyが目指していた打鍵音と世間の風潮があっていなかっただけで、Clackyな打鍵音が好きな方には刺さっていました。
今回のV3からは「マス層向け」の打鍵音に変わってしまっているので、よく確認してから購入すべきでしょう。

個人的には、打鍵感や打鍵音に関して、Thockyに振り切っているFlow(初代)やMagi65などと比較すると、そこまで詰まった打鍵音ではありません。どちらかと言うと、「聞いて楽しむ要素」を残している印象を持ちました。Flow2も初代と比較すると聴かせる要素を残していますね。
重量が増したため持ち運びに不便になった
モデル | 重量 |
---|---|
Air75 V2 | 約 598g(1.31ポンド) |
Air75 V3 | 約 724g(1.6ポンド) |
これはアルミフレームを採用したこととのトレードオフですね。
Air75 V3は、V2と比較するとなんと120g以上も重くなっています。
スマホ一台分の増量とまではいかないものの、重量が増えたことには間違いないため、持ち運びを前提で購入を検討していた方は、この重量増が許容できるか検討すべきです。
Gateron LP 2.0との後方互換なし

今回から、Cherry MXキースイッチの電機接点と互換性を持った「Gateron LP 3.0」へと搭載キースイッチが変更されました。
よって、これまでのAirシリーズで使われていたGateron LP 2.0系のキースイッチはAir75v3では利用できません。
まとめ|日本語配列キーボードの決定版

以上、NuPhy Air75v3日本語配列のレビューを行ってきました。
最近になって、海外ブランドから日本語配列キーボードのリリースが相次いでいます。
その中でもAir75V3は「総合面を踏まえて」最もおすすめできる日本語配列キーボードと言えそうです。
分割スペースバーを優先するのであれば、Lofree Flow LITE JISが候補として上がりますが、キーマップ変更ソフトウェアが若干弱い(MOD-TAPなどの設定が不可で過去にWEBアプリにトラブルあり)ことに加えて、macOSで利用する際の認識にも若干の不安が残ります。(Windowsでは問題なし)
知名度を優先するのであれば、Logicool MX MECHANICAL Mini(日本語配列)がありますが、キーマップ変更には対応していません。

キーマップ変更に対応したモデルでは、エレコムの V custom VK520LLがありますが、ルックス的にかなりゲーミング寄りとなっており万人受けする感じではないでしょう。
こうしてみると、現時点での「ロープロファイルメカニカルキーボードで日本語配列・キーマップ変更可能」という条件では、NuPhy Air75v3が最も優れていると言えそうです。
「最高のロープロ日本語配列キーボード」を探している方にはぴったりかもしれませんね。
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