2025年11月27日、東京ガーデンテラス紀尾井町「LODGE」にて、HHKBユーザーミートアップ Vol.9 が開催されました。
テーマは「AIでプログラミングはどう変わるのか?」。
テーマはやや硬めでしたが、トークセッションではフランクなトーンで終始会場内は和やかな雰囲気に包まれ、キーボード好きが一堂に会する濃い夜となりました。
会場はLINEヤフー本社のオープンなコラボレーションスペース。
今回の会場提供は、LYグループに属する株式会社ZOZOの計らいによって実現したとのこと。
平日夜ながら、軽食&ノベルティ付き・定員80名のチケットは事前に満席となり、YouTube配信も含めて多くのHHKBユーザーが参加する注目イベントとなりました。
司会の小山氏の質問で「初参加の人はどのくらいいますかー?」と聞かれると、15から20名程度が挙手するなど、参加者は「常連さん」が多い印象です。
プログラム前半では、PFUによる「2025年のHHKB振り返りと展望」で最新トピックがおさらいされ、その後は松尾公也さん、ナル先生(GOROman)さん、清水亮さんによるスペシャルトークセッション「AIによってプログラミングスタイルはどう変わるのか?」がメイントークイベントとして展開。
後半には、ZOZOとのコラボをテーマにした「HHKB×FASHION TECHでひらく、創造性の扉」トークも行われ、ハードウェアとしてのキーボードだけでなく、ファッションの観点からみたキーボードという話の展開がとても新鮮でした。
また、当日は会場内に未発表品を含むスポンサーの新製品や、生産完了品である「HHKB Professional HG」が展示されるなど、マニアにとっては垂涎ものの商品がずらり。
それではミートアップの概要を紹介していきます。
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HHKB User Meetup Vol.9イベント概要
イベント概要(HHKBユーザーミートアップ Vol.9)
- イベント名称:HHKBユーザーミートアップ Vol.9
- テーマ:AIでプログラミングはどう変わるのか?(スペシャルトークセッションテーマ)
- 開催日時:2025年11月27日(木)18:30〜21:00(開場 17:30)
- 開催場所:
- Open Collaboration Hub LODGE
- 〒102-8282 東京都千代田区紀尾井町1-3
東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー17F LODGE
(LINEヤフー株式会社 2F受付)
- 参加費用:3,000円(軽食・プレゼント付き)
- 定員:先着80名(会場参加)、YouTube配信は視聴制限なし
- 主催:HHKBユーザーミートアップ実行委員会
プログラム & 登壇者
- #1 セッション:2025年HHKB振り返りと展望
- 登壇:山口 篤(株式会社PFU)
- #2 スペシャルトークセッション:
「AIによってプログラミングスタイルはどう変わるのか?」- 松尾 公也(Webメディア記者 / AIクリエイター)
- ナル先生 @ GOROman(LLM無職)
- 清水 亮(AI / ストラテジースペシャリスト)
- 総合司会
- 小山 哲志(合同会社ほげ技研)
- #3 ZOZOコラボ記念トークセッション:
「HHKB×FASHION TECHでひらく、創造性の扉」- 諸星 一行(ZOZO, Inc.)
- assu_(ZOZO, Inc.)
- ファシリテーター:櫛井 優介(株式会社カケハシ)
展示品の紹介
ミートアップ会場では、さまざまなHHKBや関連製品の展示がありました。
松葉製作所ブースでは、未発表の「黒檀」キートップやアルミ削り出しキートップの展示もあり、多くの方が関心を寄せていました。










また、コクヨからは12月中旬に発売となるワーキングチェア「ingCloud」の展示があり、多くの方が座り心地の良さに驚いている様子が印象的でした。

その他、ファーイーストガジェット、バード電子、ZOZOが手がけたキートップカスタムのHHKB、櫛井氏の私物HHKB(5台)などが展示されていました。













Kawamuraアルミ削り出しボディのHHKB Professional HGは当時24万円だったとのこと。
打鍵感はボディの剛性が高いためか硬めで、かなり好みでした。
#1 セッション:2025年HHKB振り返りと展望
#1 セッション:2025年HHKB振り返りと展望では、2025年10月より「HHKB部」として株式会社PFU内で独立し、そのトップを担う山口 篤氏が登壇されました。
トーク内容を画像と共に振り返っていきます。



HHKBの2025年の時点での累計出荷台数は75万台を突破し、売上比率の82%は日本国内が占めています。


概算とはなりますが、前年と比較すると販売台数は約4万台となり、内訳比率としては日本国内は約32,800台、海外では約7200台とみられます。
続いて発表されたのが、販売商品の昨年度からの推移です。
【昨年(LAST YEAR)の構成比】
- Studio:35%
- HYBRID:8%
- HYBRID Type-S:54%(推定)※円グラフ構成より
- Classic:3%
【今年(THIS YEAR:2025年1月〜9月30日)の構成比】
- HYBRID Type-S:50%
- Studio:28%
- HYBRID:17%
- Classic:5%

前年は HYBRID Type-S が過半数を占める圧倒的トップ。
次いで、発売直後で話題を大きく集めた HHKB Studio が35% と高いシェアを持っていたことがわかります。
今年も HYBRID Type-S が依然として全体の半分を占める最大構成比。
一方で、Studio は 35% → 28%へやや下落。
代わりに HYBRID(無印)が 8% → 17%へ大きく伸び、
Classic も僅かに比率を上げています。
やはり、Type-S が不動の主力となっており、Studio は勢いが落ち着き、HYBRID が浮上。
Classic は微増という構図が明確に表れた販売推移と言えそうです。
おそらく来年は、有線接続に機能を絞って「Type-S」化したClassic Type-Sの伸びが大きくなることでしょう。


ユーザー傾向に関しては昨年と比べると女性比率が1%減少という結果に。
Kawamura海外では女性のキーボードファンも多いように思いますが、日本はというとやはり男性の方が多いのかもしれません。
やはり男性は「機能を重視する」、女性は「ファッション性や所有感」を重視するという傾向を考えると、現在の構図は非常に納得できます。

また、使用している人のボリュームゾーンは30代から50代という結果になりました。
実際の年齢別構成比は以下のとおりです。
▼ 年齢別構成比テーブル

| 年齢層 | 昨年(LAST YEAR) | 今年(THIS YEAR) |
|---|---|---|
| 10代 | 0.2% | 0.3% |
| 20代 | 10.5% | 13.1% |
| 30代 | 24.3% | 25.5% |
| 40代 | 24.3% | 22.9% |
| 50代 | 27.4% | 26.1% |
| 60代 | 11.9% | 11.1% |
| 70代以上 | 1.5% | 0.9% |
- 30〜50代がボリュームゾーンとして大きい
- 20代が10.5% → 13.1%に増加し、若年層の伸びが見られる
- 40代・50代は微減傾向
- 60代以上はほぼ横ばい
20代の利用者が増加した要因については「先輩エンジニアから勧められて買っているような印象」と山口氏は話していました。
また、利用配列に関しては昨年から大きな変化はなく、意外にも日本語配列を使用しているユーザーが半数以上を占める結果に。

KawamuraHHKBの源流は英語配列だとは思いますが、備え付けのキーボードが日本語配列がベースということを考えれば、日本語配列が多くなるのは当然なのかもしれません。
日本語配列から英語配列へのスイッチングコストってやはり大きいですからね。
今年でHHKBは29周年を迎えました。
来年は節目の30周年ということで、どんなアップデートがあるのか、期待したいですね。

最近の取り組み紹介



今年度販売した商品の紹介





#3 ZOZOコラボ記念トークセッション:「HHKB×FASHION TECHでひらく、創造性の扉」

今回は初の「ファッションコラボ」ということで、ZOZOの諸星氏とassu_氏をゲストにトークセッションが開かれました。
登壇者
- 諸星 一行 氏(ZOZO, Inc.)
- assu_ 氏(ZOZO, Inc.)
- ファシリテーター:櫛井 優介(株式会社カケハシ)

まず最初に登壇者の愛機紹介から。
諸星氏のHHKBはHybrid Type-S 雪の英語配列バージョンです。
キートップは「カラーキートップ:藤」の無刻印と刻印ありを組み合わせたこだわり構成。

WASDのみ刻印ありというおしゃれ仕様となっています。
controlキーは、HHKBエバンジェリストのみが所有できる特別なキートップとなっており、Enterキーは、ハンドメイドキーキャップ作家「せんみん」氏の削り出しキートップに換装されていました。
Kawamuraもしかするとキーバインドもこの通りに変えている可能性がありますね。
ゲーミング仕様だ。

貸せ、HHKBの木製キーキャップはこうやって作るんだ。 pic.twitter.com/lfpamfFNot
— せんみん 木製のキーを作ってます。 (@wood_art_d) September 8, 2025
一方、assu_氏はHHKB Hybrid Professional Type-S 雪の英語配列モデルに「カラーキートップ:蒲公英(たんぽぽ)」を装着したものを披露。
「無刻印は覚えた部分。刻印ありの部分はまだ覚えていない部分。これを蒲公英で満開にするのが目標です」と。


興味深かったのは、assu_氏が語った「着衣認知論」という考え方。
着衣認知(enclothed cognition)とは、「私たちが身に着ける服装が、私たち自身の認知・感情・行動に無意識に影響を及ぼす」という心理学の考え方ということらしい。Forbes JAPAN
着衣認知の主なポイント
- この概念は、Hajo Adam と Adam D. Galinsky による研究で提唱されました。
- 例えば、医療用の白衣を「医師の象徴」として身につけることで、実際に注意力や集中力が高まる、という実験結果があります。服装が持つ社会的・象徴的意味が、着る人の心理や行動に影響する、というわけです。
- 単に「人からどう見えるか」という外側の印象だけでなく、「自分自身がどうありたいか」という自己認識にも影響します。たとえば、スーツを着ると “きちんとした人” という自己像になり、それに見合った振る舞いや思考になりやすい — よく言われる「服装で気持ちを整える」という感覚は、この理論で説明されます。
assu_氏曰く、「家着からスーツへ着替えると背筋がすっと伸びる、速く走れるという靴を履くと本当に速く走れるような気持ちになる」という着衣認知論の考えは、キーボードにも当てはまる部分があるとのこと。
「キーボードは仕事に対するモチベーションをアゲるためのファッションアイテム。視界に入るものだからこそお気に入りのものを使いたい」と話していました。
Kawamura他にも、「キートップの単品販売をしてほしい」「一個だけ変えておしゃれにしたい」などの要望も聞かれました。
うーん、これからのキーボードには女性の視点が大事なのかもしれませんね。
また、今回の目玉企画にもなっているHHKB初の「ファッションコラボ」についても語られました。

特にキャップやフーディーには諸星氏のHHKBとファッションを掛け合わせた想いが感じられました。
キャップをあえて「デニム素材」にしたのは、HHKBの設計思想の一つである「馬の鞍=壊れずに長く使い続けられるもの」ということにインスピレーションを得て、経年による色の変化が楽しめるようにこの素材をチョイスしたと話していました。











HHKBとのファッションコラボはこれがはじめての試み。
諸星氏は「ジーンズやソックス、ガジェットポーチなど、今回できなかったものがある。機会があればぜひ次もやりたい」と意欲を見せました。

限定コラボ商品については、12月5日までの注文分しか製造されない「受注生産方式」となっています。
ほしい方はぜひ下記リンクからチェックしてみてください。

まとめ|HHKBのこれからは?
以上、HHKB User Meetup Vol.9の様子をお伝えしました。
HHKBは1996年の発売から、来年で30年の節目を迎えます。
HHKB歴の浅い私がいうのも大変恐縮ですが、当時、和田先生が考案した「Alephレイアウト」を HHKB で具現化したその思想そのものは、まったく陳腐化していません。
特に HHKB を HHKB たらしめている下記の3つの特徴は、一ユーザーとして強く魅力を感じています。
Control を A の左に置く
- Emacs/Vim、ターミナル、ショートカット多用派には理にかなった配置
Backspace/Del をホームポジション寄りに落とす
- 打鍵距離を減らすという目標は有効
60%サイズ+Fnレイヤーでフル機能をカバー
- 少ないキーで、よく使う操作をホームポジション周りに集約する考えは先進的で現在もそれは変わっていない
ただし、当時ターゲットとしていた想定OSが「UNIXワークステーション中心」だったのに対して、現代では Windows / macOS が中心となり、CUIだけでなく GUI ベースの操作やショートカットが前提となった今の環境では、レイアウトにもアップデートの余地が十分あるように思います。
Kawamura#2 のトークセッションで清水氏からの提案があった「物理的なロータリーエンコーダーノブ」「フェーダー」などの機能は非常に共感しました。
近年では、HHKB自身の機能として、キーマップ変更がユーザー任意で変更できる技術も確立してきていることからも、HHKBのアイデンティティであるあの「60%独自レイアウト」についても、ユーザーの自由度がもっと高められるようになってきているのも事実です。
現在のHHKBを「和田流Classicライン」として残しつつ、AI時代に突入した現代に即した「HHKB 2.0=MODERN HHKB」が登場しても良いのではないかと今回のミートアップを通して感じました。
きっとその文脈が「HHKB Studio」なのだと思います。
ただし、これに関しては、PC Watch の取材における松本氏のコメントとは、少々スタンスが異なることになります。
「HHKBはあくまでもプログラマーというニッチなターゲット向けキーボードで、ゲーミングPC用ではない」とあくまでもプロフェッショナルユーザーをターゲットとしたニッチな製品
引用:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/miura/2059909.html
ただ、今回のミートアップのテーマとなった「AIでプログラミングはどう変わるのか?」というテーマで登壇した3人は「プログラミングを書くのはAIで、コードレビューをするのは人間」という構造になりつつあるということを踏まえると、プログラマーという仕事自体も概念が変わってくる可能性もあるような気がしています。
私自身はいわゆる「物書き」で、プログラマーではないのですが、HHKBを使い始めて3年になり、その思想と打鍵感を大変気に入っています。
あくまでも個人的な意見ではありますが、「すべてのプロフェッショナルに向けた現代風の HHKB」があっても面白いのではないかと考えます。
30周年の節目を前に、現代に即した“プロの道具”として、HHKB がこれからどのような変化を遂げるのか。一ユーザーとして、これからのアップデートを楽しみにしています。
- 初版執筆日:2025/11/28
- 最終更新日:2025/11/28
- 取材方法:会場取材および公式リリース資料参照
- 参照・引用元:PRESS RELEASE | HHKBとZOZOTOWNがコラボレーション!ZOZOTOWN限定アイテムを発売 | PFU /ファッションで「気持ち」をコントロール、結果を出す服の選び方 | Forbes JAPAN / HHKBユーザーミートアップ Vol.8 イベントレポート/HHKB History/2026年で30周年を迎えるHHKBはどんな未来を夢見るのか? /HHKBユーザーミートアップ Vol.9
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