Lofree FLOWで採用されたLofree x Kailhのロープロファイルキースイッチ。
ロープロファイルの常識を覆すスムーズな打鍵感に驚いた方もきっと多いのではないでしょうか。
また、かつてリリースされたChoc V2との互換性があるということもあり、日本の自作キーボード界隈では非常に注目度の高いキースイッチの一つです。
そんな衝撃的キースイッチをリリースしたLofree ですが、新しいキースイッチを開発しているという情報を広報担当の方から入手することができました。
今回は「試作品で量産品ではない」「今後仕様を変更する可能性が十分にある」ことを踏まえることを条件とし、公開許諾をいただけたため、早速レビューをしていきたいと思います。
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Lofree x Kailh 「Ghost 40gf / 静音リニア」レビュー
今回提供していただいたのは、下記の2つです。
- Ghost(リニア)40gf
- 静音リニア 40-45gf(感覚値)
既存のGhost(55gf)との構造を比較していきましょう。
外観の違い
まずは外観の違いから見ていきましょう。
このように、Ghostに関しては、見た目は全く同じです。
恐らくはLEDを透過しやすくするために空いていると思われる穴も同様に空いています。
一方、サイレントリニアの方は、トップハウジングがクリア、ボトムハウジングはブラックとなっており、LED用の穴がありません。
代わりに、トップハウジング素材が蓋をするような形で嵌め込まれています。
ケースの中身は密閉されているような感じでした。
クリアケースとなったことで、ステムとの隙間が見やすいと思いましたが、かなりタイトとなっており、肉眼では隙間は見えません。
軸ブレについても、Ghost同様全てのスイッチで少ない印象を持ちました。
追記:自信がなく触れなかった外観部分についての見解が得られたため掲載します。
ご指摘のとおり、サイレントリニアのトップハウジングの形状が異なり、Choc v2と同じようになっているとのことでした。
設計目線ではShadowシリーズに合わせた方がやりやすいのですね。
ただし、シリコンを入れる関係上合わせられなかった可能性も考えられます。
高さに関しても違いはありません。
ストローク距離をデジタルノギスで計測してみましたが、全てのスイッチで2.8mmを記録しました。
分解ー内部構造の違い
ちょっと怒られそうですが、分解します。
まずはGhostから分解しました。
一見、中身に大きな違いはありません。
バネの巻き数は若干異なっており、50gfは10巻、40gfは9巻のように見えます。
肉眼では非常にわかりにくいですが、若干長さも異なっており、40gfの方が0.5mmほど短くなっていました。
続いて、静音リニアの方を分解してみます。
お分かりいただけるだろうか。
ちょっとズーム。
こんな小さいスイッチのステムの両脇に、シリコンゴムが付いています。
Ghostをはじめ、Lofree x Kailhのキースイッチは、ステムの底でボトムハウジングを「叩く」ような構造となっており、スイッチ単体では底打ち音がかなり目立つタイプのキースイッチです。
そのステムとボトムハウジングが直接HITしないようにシリコンゴムが仕込まれており、この構造こそが「サイレントリニア」たらしめているのだと推察します。
バネ長とバネの巻き数に関しては、Ghost 40gfと同じだったため、押下圧はおそらく40-45gf程度ではないでしょうか。
FLOWがあれだけコトコト気持ちが良いのは、キースイッチとの相性が非常によく考えられているためだと思います。
Ghost単体では底打ち音がかなり大きく、「ペチペチ」してしまうため、「コトコト」を目指すには、間違いなく吸音フォームが必須となるでしょう。
打鍵音の違い(動画あり)
皆さんが一番気になるのはやはり打鍵音ではないでしょうか。
FLOWのA行を左から順に3つずつ、Ghost 50gf/ Silent Linear /Ghost 40gf と並べて、打鍵音の違いを検証しました。
同じ行にしたのは、場所によって打鍵音が異なっていることに配慮してです。
それでは早速聞いてみましょう。
このように、静音リニアに関しては、ほとんど底打ち音は感じられません。
若干のステムとトップハウジングのスレる音がしますが、かなり静かです。
静かな中でも打った時の低音は残っており、見事に高音域をスポイルできています。
一方で、Ghost 40gfの方は、「スプリングを短くしただけ」にもかかわらず、かなりハイ寄りな打鍵音となってしまいました。
Ghostの良さは、ローが強く出るコトコトとした打鍵音だと考えていたので、ちょっとショックでした。
打鍵感について
こちらは動画でも文字でも表現しにくい感覚的なものなのであくまでも参考程度に。
通常のGhostと比較すると、やはり両者ともに「軽い」打鍵感となっていました。
特に、現行のGhostでは、長時間のタイピングでは指が疲れてしまっていたため、この程度の重さであれば長時間のタイピングでも疲れてにくい印象が持てます。
また、静音リニアの底打ちをするときの感覚については、シリコン特有の「ぐにゃっとした感じ」もそこまで感じず、かなり快適にタイピングすることができました。
まとめ|静音リニアはロープロファイル界隈の革命児となる
以上、Lofree x Kailhのロープロファイルキースイッチの試作品についてレビューしてきました。
正直なところ、Ghost 40gfについては、打鍵音に関してまだまだ改善の余地があると感じています。
一方で、サイレントリニアに関しては、このままリリースしても十分日本のロープロファイルキーボード市場を席巻するだけのポテンシャルは秘めているのではないかと強く思いました。
最近では、Lowprokb.caから「Ambients Silent Choc Switches」のリリースが予定されていますが、やはりキーキャップの互換性という意味では、Choc V1よりもChoc V2に軍配が上がります。
ただし、Lofree x Kailhのロープロファイルキースイッチについては、まだまだ対応するキーボードの数が少なく(もともとChoc V2が使えるキーボード自体も少ない)、一般的に普及しているCherry Profileキーキャップを使用すると、スイッチプレートとキースイッチのスカート部分が干渉してしまうなどの課題も残っています。
今回はまだ「試作品」ということなので、今回のレビュー結果を伝え、さらなる改良品がリリースされることを期待しましょう。
また、カラーリングについてもどうなるのかは気になるところです。
何かしらのコンセプトに沿ったカラーリングになりそうな印象を持っています。
それにしても、Lofree、かなり日本市場に受け入れられてきていますね。
今後もLofreeから目が離せません。
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