Greenkeys運営のカワムラです。
本記事では、HHKB Studio Keycapsの日本語配列バージョンについてお伝えしていきます。
HHKB Studio Keycapsの日本語配列の販売の可能性と課題
結論から言うと、HHKB Studio Keycapsの日本語配列バージョンの発売は「あるかもしれない」というのが現時点で出しうる私の回答です。
今回リリースしたのは、言わずもがな「英語配列専用」のキーキャップとなっており、日本語配列には全く適合しません。
その理由は下記のとおりです。
- そもそもキーの配置が違う
- 「B」キーの切り抜きが合わない
- スペースバーが特殊規格で用意できない
課題1 キーの配置が異なる
まずは「キーの配置が違う」問題があります。
こちらが英語配列です。
次に日本語英語配列と英語配列を比較した時の「キーの印字」自体が異なる場所を赤で記した図が買いになります。
このように、英語配列と日本語配列では「ほとんど」キーの印字・入力される文字自体が異なるのです。
仕事柄、いろいろな国のローカル配列を見てきましたが、英語配列からここまで違うのは日本くらいではないでしょうか。
現在販売を予定しているHHKB Studio Kitの印字方法は、「2色成型(ダブルショット)」と言って、2つの色の異なる素材を組み合わせて、印字を表現しています。
この手法の良いところは、印字が消えることがない点です。
一方、作成には専用の金型が必要となります。
つまり、日本語配列を採用してダブルショットでキーキャップを製造する場合、英語配列と共通の金型を使用できないため、一から金型をすべて製作しなければいけません。
仮に、日本語のサブレジェンドを除いて、日本語配列のみのキーキャップの金型を作成する場合、約20キー分あります。
金型作成費用を1つ20万円とすると、約20キー分製作するとなると約400万円かかります。
HHKB Studioの流通数に関しては不明ですが、この費用を回収しようとなると、「結構な数」を売れないといけません。
うちはそれほど事業規模が大きいわけではないので、投資額を回収できる見込みがないもの対してそこまで頑張れる体力がないというのも正直な部分です。
課題2 Bキーの切り抜きが合わない
次に、「B」キーの切り抜きが合わない問題があります。
HHKB日本語配列は、R3(下から1番目の行)が、通常のキーボードと比較すると「ズレ幅が少なく」なっています。
よって、ポインティングスティックを避けるための「B」キーの切り抜きの位置が異なるため、金型を一から作らなければいけません。
実は英語配列のGHBは、実機を採寸して、何度も試作を繰り返して一から金型を製作しています。
公開されている3Dプリント用のデータは、そもそもKATプロファイル用ではないため、一切使用していません。
課題3 スペースバーが特殊規格で用意できない
HHKB 日本語配列のスペースバーは「2.5u」サイズです。
スペースバーは他のキーとは異なり、「コンベックス形状」と言って、キー上面が盛り上がっています。
この2.5uサイズというサイズのスペースバーは、世界的には存在しません。
世界的にメジャーなスペースバーは、下記の3つです。
- 6.25u
- 7.0u
- 2.25u/2.75u (アリスレイアウト)
- 2.0u(格子状レイアウト)
通常の英語配列キーボードのスペースバーは、ほとんどが6.25uサイズですが、モデルによっては7.0uとなっていることもあります。
さらに、アリスレイアウトと呼ばれるエルゴノミクスキーボードの場合、スペースバーが2.25u/2.75uとされることが多いです。
Planckを代表とするオーソリニア(格子状配列)キーボードは2.0u スペースバーをつかっているため、これに対応したキーキャップセットもそれなりにあります。
なぜこれらのスペースバーの金型があるかというと、世界のマーケットにおいて需要があるからです。
日本という非常に小さなマーケット用に金型を作るのは、費用対効果から嫌煙される可能性が高いです。
さらに、HHKB日本語配列のみにしか採用されていない2.5uサイズのスペースバーを作成するということはちょっと…となるのは想像に易いでしょう。
HHKB Studio 日本語配列用の交換用キーキャップを求める声
「HHKB Studio Keycapsの日本語配列バージョンはリリースしないんですか?」という問い合わせは実は結構あります。
HHKBエバンジェリストのびあっこさんからもリクエストをいただきました。(ありがとうございます、またキーケット取材に行きます)
この他にも、企業様や個人の方から直接お問い合わせいただいたケースもあり、やはりニーズとしてはあるような印象を持っています。
CNET JAPANの記事では、「JISレイアウトの売上が5割」というデータもあるため、日本語配列用の交換用キーキャップの売上も英語配列の売上と同等程度になる可能性があるとも言えるのです。
なので、一番大きな検討材料としては、「英語配列の売上がどれくらいか」という部分になります。
英語配列版のHHKB Studio Kitの日本国内取り扱いも2024年11月28日から始まりました。
これを機に日本でもっとUS配列版が売れたらあるいは…という感じです。
まとめと不確定な展望
と言う感じで、「金型作成」という部分でムズカシイというのがわかっていただけたと思います。
ただし、「昇華印刷」にしてしまえば、金型作成は不要となるため、印字デザインを依頼するだけで済むため、製作コストは特殊サイズのスペースバーの作成だけで事足ります。
いわば、キーキャップ界で「PBT素材」を使った「ダブルショット」キーキャップは、「業界最高峰のクオリティ」と言っても過言ではありません。
コスト的にも技術的にもハードルが高いため、昇華印刷としているケースが多いのはそのためでしょう。
一応、KATプロファイルでも昇華印刷は十分可能なのですが、やはりKATはダブルショットでこそ意味があるような個人的な感覚もあるため、やるとすれば別のプロファイルになるかもしれません。
何かしらの形で実現できる未来を想像しています。
依頼先は、間違いなくKeyreativeになることでしょう。
代表のZhao氏とは結構密に連絡をとっており、日本市場に対して非常に前向きな姿勢です。
彼らのキーキャップのクオリティは本当に素晴らしいので、日本への進出を進めるべく、事業として協力していく体制を作っています。
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