Jiffy75はなぜ刺さったのか。Cornix後の分割キーボード市場を考える

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コラム
この記事の位置づけ
本記事は、キーボード市場や製品動向についての筆者見解を含むコラム記事です。事実関係の確認に努めつつ、分析や評価には筆者の視点が含まれます。レビューやニュースとは異なる、意見性のあるコンテンツとしてご覧ください。

左右分割キーボード「Jiffy75」がKickstarterで大きな注目を集めました。

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画像参照:https://www.kickstarter.com/projects/jezailfunder/jezailfunderjiffy75-a-unity-75-split-keyboard?lang=ja

最終的な着地は、Kickstarter上では835人のバッカーから支援され、3,200万円以上の支援を集めました。

これは単なるニッチな分割キーボード案件ではなく、かなり広い反応を得た製品のように映ります。

ただし、これを単純に「分割キーボード市場が急に伸びた」と見るのはちょっと違うように見えました。

個人的な見解としては、Cornixでの市場形成があったからこそ、Jiffy75が売れたというイメージを持っています。

本コンテンツでは、公開情報と市場観察をもとに、Jiffy75が刺さった背景を整理していきます。

タップできる目次

Jiffy75は分割キーボードだから売れたわけではない可能性

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Jiffy75は、分割キーボードだから売れたわけではない可能性があると考えます。

65%をベースとした特徴的な分割レイアウト、Bluetoothと2.4GHz接続、快適性とシンプルさを訴求しながら、支援者数・支援額ともに大きく積み上がりました

もし「分割キーボード」というカテゴリの勢いだけで説明できるのであれば、これまでの左右分割キーボードももっと広く売れていておかしくありません。

ただ、これまで日本で分割キーボードが「一般的な層を対象として」ここまで話題になった例は多くなく、少なくとも筆者の観測範囲ではCornixがかなり印象的でした。

実際に、日本語配列ユーザーがほとんどと言われている日本において、英語配列の左右分割キーボードはかなりニッチです。

先に市場を動かしたのはおそらくはCornix

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私の見立てでは、先に市場を動かしたのはCornixだと考えています。

Cornixは遊舎工房でGB形式で販売され、その後はJezail Funder Japanで予約販売が第3弾まで続きました。

しかも第3弾は、部材準備数の上限に近づいたことを理由に、当初予定より前倒しで受付終了になっています。

公開情報だけでも、日本で一度きりではなく、継続的に売る価値があると判断されたと読み取ることができます。

販売総数については公表されていないものの、販売の時系列を見る限り、Cornixは日本で強い手応えを得て、市場認知を押し広げた製品だったと考える余地があります。

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SNSでの購入報告を見ていた印象としては、自作キーボードユーザーやキーボードファンよりも、ガジェット好きに刺さっていた印象でした。
つまり、キーボードコア層の周辺にも広くリーチしていたと読んでいます。

Cornixへのスイッチングコストは高く情熱だけでは使いこなせない

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Cornixは導入コストの高い商品というのは誰がみても明らかです。

通常よりも大幅に少ないキー数、英語配列ベースのレイアウト、左右分割、カラムスタッガードレイアウト、レイヤーキーでの入力を前提としたタイピング体験などなど、「面白そう!」という情熱だけでは乗り越えにくい壁があります。

つまり、ビジネスユースとして使いこなすには一定以上の「習熟」が必要なガジェットと言えるでしょう。

その意味でCornixは、「分割キーボードの存在を広く知らしめた」一方で、実務として毎日使いたい人にとっての「次の一台」までは埋め切らなかった可能性があります。

ただし、「分割キーボード」というジャンルと「それをリリースしているなんか面白そうなブランド=Jezail Funder」という認知は進んだ。

でも、本格導入の受け皿はまだ足りなかった。

そこにJiffy75が入ってきた、という見方だと、今回のクラウドファンディングの結果も腹落ちします。

Jiffy75はスイッチングコストを抑えた「次の一台枠」にハマった

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Jiffy75が刺さった理由は、分割キーボードというカテゴリ性だけではなく、今の市場で受け入れられやすい複数の要素を持っていたこと にあると考えています。

つまり、Cornixに興味を持った一方で「あー普通の横ずれ配列でキー数が普通だったらなー」とスイッチングコストを理由に諦めたユーザーにハマった可能性があります。

筆者が特に効いたと感じるのは、次の3点です。

  • 完全無線
  • ロープロファイルでパームレストがいらない
  • 洗練された見た目でかっこいい

Cornixで「分割という選択肢」を知った人たちにとって、Jiffy75はより普段使いに持ち込みやすい形に見えたのではないでしょうか。

つまりJiffy75は、市場をゼロから作ったというより、すでに生まれつつあった関心にきれいにはまった製品 だったように思います。

分割キーボードだから「売れる」とはならない背景

Jiffy75が売れたからといって、「分割キーボードなら日本で売れる」とは限りません。

Jiffy75には「売れる条件」が揃っていました。

  • 無線導入のしやすさ
  • ロープロファイルという最近の相性の良さ
  • 洗練されたデザイン
  • 75%に近く65%の良さを生かしたコンパクトなキーレイアウト
  • Cornix後の市場文脈に乗れたこと

この条件が変われば、同じ 「左右分割キーボード」でも受け取られ方は大きく変わります。

まとめ

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Jiffy75の反応は、単発の偶然というより、Cornix以降に少しずつ育ってきた市場文脈の中で起きた現象として見る方が自然だと捉えています。

次の分割キーボードも同じように受け入れられるとは限りません。

Cornixは日本で継続販売が重ねられ、Jiffy75はその後継的な位置で、より日常導入しやすい分割キーボードとして訴求されていました。

ただし、それは「分割キーボードなら何でも売れる」という意味ではありません。

むしろ問われるのは、その製品が誰のどんな作業や生活に刺さるのかを、どれだけ明確に設計できるかです。

Greenkeysを通してさまざまなキーボードを取り上げてきましたが、その製品のスペック訴求よりも、その製品を通してどういった変化を享受できるのか、その「体験部分」を重視した商品設計や、その商品が売れるような訴求動線の構築が重要なのだと、改めて感じました。

うーん、キーボード市場、かなり奥が深いですね。

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河村 亮介のアバター 河村 亮介 Greenkeys chief editor

日本のキーボード専門メディア「Greenkeys」の編集長です。
メカニカルキーボード、自作キーボード、入力デバイスに関するレビュー・取材・検証・撮影・計測・執筆を一貫して担当しています。
これまで100製品以上のキーボードや入力デバイスをレビューし、日本語配列キーボードの互換性問題に関する情報整理と市場解説を行っています。
また、日本語配列キーボードの互換性標準化を目的とした業界連携プロジェクト Japan Layout Alliance(JLA) を設立し、国内外メーカーと協力した活動を進めています。
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