大型ボールを人差し指や中指で操作するトラックボールには、Kensington「SlimBlade Pro」やエレコム「HUGE PLUS」など、個性的な製品がそろっています。
そこへ新たに加わったのが、ProtoArc「EM06」とKensington「Expert Mouse Pro TB900 EQ」です。
いずれも52~55mmの大型ボールを採用していますが、ボタン数、スクロール方法、オンボードメモリ、ボールの支持方式には大きな違いがあります。
それぞれの特徴はこのような感じです。
大型トラックボールの特徴
- オンボードメモリと価格を重視する:ProtoArc EM06
- ポーリングレートと操作部の豊富さを重視する:Kensington TB900 EQ
- 左右対称の薄型形状と独自操作を好む:Kensington SlimBlade Pro
- ボタン数と物理ホイール、操球感を重視する:エレコム HUGE PLUS
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
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大型人差し指トラックボール4機種の特徴を比較
| 製品 | EM06 | TB900 EQ | SlimBlade Pro | HUGE PLUS |
|---|---|---|---|---|
| 通常価格 (米ドルベース)*4 | $89.99 | 未定 | $119.99 | $129.99 |
| メーカー | ProtoArc | Kensington | Kensington | エレコム |
| 操作方式 | 人差し指・中指 | 人差し指・中指 | 人差し指・中指 | 人差し指・中指 |
| ボール径 | 55mm | 55mm | 55mm | 52mm |
| 本体形状 | 左右対称 | 左右対称 | 左右対称 | 右手用 |
| センサー | デュアルセンサー | DIAMONDEYE デュアルセンサー | 光学式 | 高性能光学式 |
| ボタン・割り当て | 7ボタン | 8ボタン | 4ボタン+同時押し | 8ボタン+左右チルト |
| スクロール | ボール操作 (トラックスクロール) | スクロールリング +左右ダイヤル | ボールをひねる | チルトホイール |
| 接続 | USB-C/2.4GHz/Bluetooth×2 | USB-C/2.4GHz/Bluetooth | USB/2.4GHz/Bluetooth | USB/2.4GHz/Bluetooth |
| 設定方法 | Webブラウザ | Kensington Konnect | KensingtonWorks | エレコム マウスアシスタント |
| オンボードメモリ | 最大4プロファイル | 非対応*2 | 非対応*2 | 対応予定*1 |
| 支持方式 | 人工ルビー | 公式情報で明記なし | 公式情報で明記なし | ベアリング (モジュール式交換可能) |
| 最大ポーリングレート*3 | 125Hz 2.4GHz接続 | 1000Hz USB有線・2.4GHz接続 | 125Hz | 1000Hz USB有線接続時のみ |
| パームレスト | 本体一体型 | 本体一体型 | なし | 本体一体型 |
- 1 HUGE PLUSのオンボードメモリについて、エレコムはソフトウェアアップデートによる対応を案内しています。実際の対応状況は、最新の「エレコム マウスアシスタント」で確認する必要があります。
- 2 TB900 EQはKensington Konnect、SlimBlade ProはKensingtonWorksからボタンの機能を変更できます。ただし、いずれも設定を本体へ保存するオンボードメモリには対応していません。TB900 EQについてはKensingtonのテクニカルサポートが非搭載と回答しており、SlimBlade Proも設定ソフトを利用するパソコン側でカスタマイズ内容を管理します。
- 3 EM06とSlimBlade Proの数値はメーカーが公開した正式仕様ではなく、実機による測定情報です。(RTINGSによるSlimBlade Proの測定結果)(EM06の先行テスト結果)
- 4 執筆時点で日本未発売機種が半数を占めるため米ドルベースで記載
まずはそれぞれの機種の特徴を詳しく見ていきましょう。
ProtoArc EM06|Web設定と4つのオンボードプロファイルに対応

ProtoArc EM06は、直径55mmのボールを中央に配置した左右対称型のトラックボールです。
コミュニティと一緒に作り上げたと、としており、トラックボール好きが唸るような仕様になっています。

本体には7つのボタンを搭載しており、すべてのボタンへ任意の機能を割り当てられ、WEBブラウザベースの変更ソフトを用いて変更可能。
オンボードメモリを搭載しており、最大4プロファイルを本体へ保存可能です。
また、ボール操作ではカーソル移動だけでなく、縦横のスクロールが可能となる「トラックスクロール機能」を搭載しているのが大きな特徴と言えるでしょう。
接続方式は次の3系統です。
- USB Type-Cによる有線接続
- 2.4GHzワイヤレス接続
- Bluetooth接続
ボタン数が多くカスタマイズの幅が広いため、どちらかというと玄人向けの商品と言えるかもしれません。
ケンジントンなどと比べると知名度の面では少々優位性が下がりますが、非常に競争力のある商品といえます。
Kensington Expert Mouse Pro TB900 EQ|1000Hzと豊富な操作部が特徴

Expert Mouse Pro TB900 EQは、Kensingtonが展開する左右対称型の大型トラックボールです。
EM06と同じ直径55mmのボールとデュアルセンサーを採用しています。
事実上終売となったTB800の後継機に位置付けられると編集部では見ています。
ポーリングレートは最大1000Hzを誇り、高リフレッシュレートのディスプレイや、素早いポインター移動を重視する用途でも滑らかな操作が期待できます。
ボールの周囲にはスクロールリングを配置し、本体側面には左右のスクロールダイヤルを搭載しています。
縦方向のスクロールだけでなく、表計算ソフトや動画編集ソフトのタイムライン操作なども想定した構成です。
また、8つのボタンを備え、Kensington Konnectから機能を変更できます。
多ボタン、物理スクロールリング搭載、キーカスタマイズも可能というまさにフラッグシップモデルとなっており、価格もおそらくはトップクラスとなると見られます。
なお、TB900 EQの設定を本体へ保存できるかどうかは、現時点での公式製品情報から確認できません。
Kensington Expert Mouse Pro TB900 EQ公式製品ページ
Kensington SlimBlade Pro|ボールをひねってスクロール

SlimBlade Proは、直径55mmのボールを採用した左右対称型トラックボールです。
ボールの周囲には4つの大型ボタンが配置されており、KensingtonWorksを用いて各ボタンの機能を割り当てられます。
4つしかボタンがありませんが、「同時押し」を設定できるため、少ないボタン数でカスタマイズ性が高いのが特徴といえるでしょう。
また、スクロールは、スクロールリングを回すのではなく、「ボール自体を横方向へ回す(ひねる)」動作となっているのも特徴です。
SlimBlade Proには一般的なスクロールホイールがなく、ボールを横方向へひねることでスクロールします。
トラックスクロールと比較すると、モード切り替え不要で直感的に操作できるのが好まれる一方で、操作感に慣れるまでは少し時間がかかるかもしれません。
Kensington SlimBlade Pro公式製品ページ
エレコム HUGE PLUS|スクロールホイールがついたマウスに近い形

HUGE PLUSは、直径52mmのボールを採用した右手用の大型トラックボールです。
左右対称型の3機種とは異なり、本体へ手のひらを乗せて使用する右手専用形状を採用しています。
低反発素材のパームレストも本体に一体化されており、4機種のなかでも特に本体サイズの大きい製品です。
有線接続時のポーリングレートは1000Hzとなっており、カーソル遅延が気になる方には嬉しいポイントと言えるでしょう。
HUGE PLUSは8つの物理ボタンと、ホイールの左右チルトを搭載しています。
「エレコム マウスアシスタント」を使用すると、合計10カ所へ任意の機能を割り当て可能です。
物理的なスクロールホイールを搭載しているため、一般的なマウスから移行しやすい点も特徴です。
主要な7ボタンには静音スイッチが採用されており、スイッチ配置もかなりマウスに近くなっているため、スイッチングコストが低い可能性があります。
また、前述の3機種と比べると、トラックボール支持機構が「モジュール」となっており、好みの支持機構へ変更することが可能です。
標準モデルは、ミネベアミツミ製のベアリングでボールを支持します。
別売りの人工ルビー支持ユニット、もしくは2026年夏に販売を開始した「ボールローラー支持機構」へ交換し、操球感を変更できます。
今後のアップデートで、オンボード対応に加えて、トラックスクロール、レイヤー機能の実装も予定しており、今後に期待される機種といえます。
機能で選ぶ大型トラックボール
ここからは、機能別におすすめ機種をみていきましょう。
スクロール方法で選ぶならHUGE PLUS
大型トラックボールを選ぶ際は、ボール径やボタン数だけでなく、スクロール方法も重要です。
| 製品 | スクロール方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| EM06 | トラックスクロール | 上下・左右へ移動可能 |
| TB900 EQ | スクロールリング+左右ダイヤル | 物理操作部が豊富 |
| SlimBlade Pro | ボールをひねる | 独自のツイスト操作 |
| HUGE PLUS | チルトホイール トラックスクロール(実装予定) | 一般的なマウスに近い トラックスクロールは上下・左右へ移動可能 |
EM06は上下・左右への移動に対応しますが、操作前にスクロールモードへ切り替える必要があります。
物理ホイールを多用する人はHUGE PLUS、スクロールリングやダイヤルを使い分けたい人はTB900 EQが候補になります。
SlimBlade Proは独自性が高く、ツイストスクロールを気に入るかどうかで評価が分かれそうです。
この中で唯一、2種類の操作方法を有しているのがHUGE PLUSです。
ボール操作主体のトラックスクロールだけでなく、物理ホイールでも操作ができる点は多くの人が利用しやすいでしょう。
オンボードメモリを重視するならEM06
複数のパソコンで同じボタン設定を使いたい場合は、オンボードメモリの有無が重要です。
EM06は、最大4つのプロファイルを本体へ保存できることが明記されています。
ブラウザから事前に設定しておけば、接続先ごとに専用ソフトを常駐させる必要がありません。
TB900 EQとSlimBlade Proは専用ソフトによるカスタマイズに対応しますが、設定を本体へ保存できるかどうかは公式情報で確認できません。
HUGE PLUSについては、エレコムがオンボードメモリへの対応を案内しています。
ただし、ハードウェアの発売後にソフトウェア側の対応が延期されているため、最新の対応状況を確認する必要があります。
設定ソフトを導入できない業務用パソコンなどで利用する場合、現時点ではEM06の仕様が分かりやすいといえるでしょう。
ボタン数は好みが分かれる部分
割り当て可能な操作数が最も多いのは、8ボタンと左右チルトを備えるHUGE PLUSです。
同様に、TB900 EQも8ボタンに加えて複数のスクロール操作部を備えます。
EM06は7ボタンを搭載しており、左右対称型としては比較的多くの操作を割り当てられます。
SlimBlade Proは4ボタンとシンプル。
2ボタン同時押しも利用できますが、単独で押せる物理ボタン数はほかの3機種より少なくなります。
ボタン数に関しては、多すぎれば迷う、少なすぎれば不便という、個人の感覚で好みが左右される部分ですので、比較ポイントとしてはなんとも言い難い。
一方で、トラックボールデバイスを「ポインティング+ショートカット」デバイスとして見るのであれば、ボタン数が大いに越したことはないでしょう。
ポーリングレートはTB900 EQとHUGE PLUSが優位
ポーリングレートは、トラックボールからパソコンへ操作情報を送信する頻度を示します。
数値が高いほどポインターの動きを細かく反映しやすく、特に高リフレッシュレートのディスプレイでは滑らかさの違いを感じやすくなります。
| 製品 | 最大ポーリングレート | 条件 |
|---|---|---|
| EM06 | 125Hz※ | 先行テスト機の2.4GHz接続時 |
| TB900 EQ | 1000Hz | USB有線・2.4GHz接続 |
| SlimBlade Pro | 125Hz※ | 現行ファームウェアでの実測値 |
| HUGE PLUS | 1000Hz | USB有線接続時のみ |
※EM06とSlimBlade Proの数値はメーカーが公開した正式仕様ではなく、実機による測定情報です。
ポーリングレートを重視する場合は、TB900 EQが最も選びやすいでしょう。2.4GHz接続でも最大1000Hzを利用できるため、ワイヤレス接続と滑らかなポインター操作を両立できます。
HUGE PLUSも1000Hzに対応しますが、有線接続時に限定されます。
EM06はデュアルセンサーによる読み取り安定性を特徴としていますが、先行テスト機の2.4GHz接続では125Hzでした。一般的な事務作業には十分な範囲ですが、高リフレッシュレート環境や応答性を重視する用途では、TB900 EQや有線接続時のHUGE PLUSとの差が出る可能性があります。
4機種はどんな人におすすめできる?
これまでの点を踏まえて、おすすめできる人の特徴をまとめます。
ProtoArc EM06がおすすめの人
- 55mmボールの左右対称モデルを探している
- 7つのボタンを自由に設定したい
- 設定を本体へ保存したい
- 専用アプリをインストールしたくない
- 導入価格を抑えたい
物理スクロールホイールがない点を「操作しやすい」と評価するのであれば、非常によい選択肢の一つです。
機能と価格のバランスに優れている機種といえます。
Kensington TB900 EQがおすすめの人
- 55mmボールとデュアルセンサーを重視する
- 1000Hzのポーリングレートが必要
- スクロールリングやダイヤルを使い分けたい
- 動画・画像編集などで多数の操作を割り当てたい
- 左右対称型を使いたい
4機種のなかでは、操作部とポインター性能を重視した上位モデルという位置付けです。
伝統的機種の後継的な位置付けということもあり、クリエイターに多く支持されるでしょう。
Kensington SlimBlade Proがおすすめの人
- 左右対称の薄型モデルが欲しい
- 左手でも使用したい
- ボールをひねるスクロール操作を好む
- 多数の物理ボタンを必要としない
- SlimBladeシリーズの形状に慣れている
機能数よりも、薄型形状と独自の操作感を重視する人に向いています。
やはり、「ひねる」操作の独自スクロール機構が好きかどうかで選択が分かれますね。
エレコム HUGE PLUSがおすすめの人
- 右手用の大型パームレストが欲しい
- 物理スクロールホイールを使いたい
- 多数のボタンへ機能を割り当てたい
- 1000Hzで利用したい
- ベアリングと人工ルビーを交換して試したい
- 国内メーカーのサポートを重視する
左右対称ではありませんが、ボタン数、物理ホイール、支持ユニットの交換機構など、機能の豊富さが魅力です。
マウスからのスイッチングコストを抑えたい、2種類のスクロール機構を試してみたい、ボールの操球感を変えてみたいなど、トラックボールをより実用的な道具として楽しみたい方におすすめできそうです。
まとめ
以上、大玉トラックボールの話題の4機種を比較してきました。
大玉トラックボールデバイスは、サイズが大きくはなるものの、安定したカーソル操作や複数ボタンカスタマイズによるショートカットデバイスとして兼用できるというメリットを兼ね備えています。
気に入ったものがあれば、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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