どこに載せようかなー、と少し考えました。
ただ、これはGreenkeysがどこから来て、これからどこへ向かうのかという話でもあるので、Greenkeysのコラムに掲載することにしました。
メディアは、案外長生きです。
という書き出しから始まる、ギズモード・ジャパン20周年に寄せた記事が公開されました。
執筆したのは、ギズモード・ジャパン統括編集長の尾田和実さんです。
参考:
ギズモード、本日20歳。日本最大のテックメディアが「成人式」を迎えました
2026年7月31日、ギズモード・ジャパンが20周年を迎えました。
おめでとうございます。
ギズモード・ジャパンが始まったのは、2006年7月31日。
当時はまだiPhoneも登場しておらず、X(当時のTwitter)やInstagramも日本では普及していませんでした。
20年前の当時、私は19歳でした。
パソコンが好きだった私は、Winnyが社会問題になったのが記憶に残っています。
当時はガラケー全盛期で、YouTubeが始まったのが記憶に新しいですね。
現在のように、検索やSNSを通じて誰もが情報を発信し、スマートフォンから当たり前のように記事を読む時代になる前のことです。
そこから20年。
テクノロジーだけでなく、私たちが情報と出会う方法も大きく変わりました。
そして今、変化を迫られているのは、情報を届ける側であるWEBメディアも同じなのだと思います。
ギズモード・ジャパンの20周年をきっかけに、Greenkeysがどこから来て、これからどこへ向かうのかを考えてみました。
WEB業界に入ったのは2019年
実は私がWEBでお仕事をするようになったのは2019年と結構遅いのです。
当時は「通信ジャンルの専門家」として活動しており、使い放題Wi-Fiなどの話題を取り扱っていましたね。
Greenkeysを開始したのは、それから3年後の2022年でした。
当時はすでにGoogle検索の大きな変動により、それまで検索結果に表示されていた個人サイトが上位に出にくくなっていた時期だったと記憶しています。
GreenEchoes Studioとしては、2019年に開業し、個人としての枠を超えた活動をしてきましたが、それをWEB上で周知させる難しさを知りました。
しかし、2023年に起きたGoogle検索の大きな変動によって、運営していた通信系メディアへの検索流入は大幅に減少しました。
その結果、Greenkeysが事業の主軸になっていきました。
当時、アフィリエイトを主な収益源とするメディアの中には、実際の評価よりも商品を売ることが優先されているように見えるものも少なくありませんでした。
そのようなコンテンツ制作に次第に違和感を持つようになり、純粋に「好きなことを好きに発信しよう」と始めたのがGreenkeysです。
海外ブランドと日本をつなぐメディアへ
Greenkeysの運営を開始して行き詰ったのはやはり収益化問題です。
メディア運営を継続するためには、何らかの形で収益化する必要があります。
一方で、収益を優先するあまり、結論ありきで商品をすすめているように見えることは避けたい。
この葛藤から、現在の編集方針である「買うかどうかは読み手に委ねる」というスタンスが確立されました。
「私はおすすめするけども、判断するのはあくまでも読み手」です。
キーボードジャンルについて調べていくうちに、日本では日本語配列や国内流通ブランドを中心とした、いわば「ガラパゴス」ともいえる独自の環境が形成されていることを知りました。
海外ではブランドとの直接提携が可能で、海外ブランドの担当者とのやり取りが増えました。
製品を紹介するだけでなく、日本のユーザーがどのような製品を求めているのか、どの仕様が受け入れられにくいのか、どのように伝えれば製品の魅力が正しく届くのか。
そうした日本市場の反応を、海外ブランドへ伝える役割も担うようになりました。
ほんと、いつの間にか。
現在では、製品レビューやニュースの掲載に加えて、市場レポート、販促支援、製品監修、企画提案など、Greenkeysを始めた当初には想像していなかった仕事へつながっています。
日本のキーボード専門メディアとして、複数の海外ブランドと継続的な関係を築き、日本市場との橋渡しを事業として行う例は、当時ほとんど見られなかったように思います。
Greenkeysは、趣味の延長線上からスタートした、というのは事実です。
それが、キーボードの情報を集めて紹介するだけのメディアから、日本のユーザーと海外ブランドをつなぐメディアへ、少しずつ変化してきました。
WEBメディアを取り巻く環境は大きく変わった
Greenkeysが「PVに依存しないメディアの形」へ変わってきたのは、ニッチジャンルという特性が大きかったように思います。
当時、キーボードジャンルはニッチ中のニッチであり、PV自体が望めませんでした。
また、日本のキーボードシーンを考えると、メディアとして収益化できる余地がほとんどなかったように思います。
そのようなシーンの中で、開拓してきた結果、現在のGreenkeysのスタイルが完成しています。
一方で、WEBメディアを取り巻く環境そのものの変化もありました。
これまでのWEBメディアは、記事を作り、検索やSNSからアクセスを集め、PVを広告収益へ変えることが基本でした。
しかし現在、この仕組みだけでメディアを維持することは難しくなりつつあります。
Google検索はアップデートの影響が大きく、これまで安定していた検索順位が短期間で変わることも珍しくありません。
SNSでは、投稿そのものが評価される一方で、外部サイトへのリンクを含む投稿は広がりにくい傾向が見られます。
Cookie規制の強化によって、ユーザーの行動を継続的に追跡することも難しくなり、従来型のターゲティング広告は見直しを迫られています。
さらに生成AIの普及によって、単純な製品情報や一般的な解説であれば、元の記事へアクセスしなくても概要を把握できるようになりました。
情報を必要としている人が、必ずしも情報を作ったメディアへ訪れるとは限らない時代になっています。
危機に直面しているのは、WEBメディアそのものというよりも、PVを広告収益へ変えることだけに依存した運営方法なのかもしれません。
このスタイルを変えてきていると感じているのが、ギズモード・ジャパンです。
ギズモード・ジャパンも「伝える先」へ進んでいる
もちろん、Greenkeysとギズモード・ジャパンでは、規模も歴史も運営体制も大きく異なります。
ギズモード・ジャパンは、多くの編集者やライターを抱える、日本を代表するテクノロジーメディアです。
一方のGreenkeysは、特定のジャンルに特化した小さな専門メディアです。
それでも、最近のギズモード・ジャパンの取り組みを見ていると、両者が異なる場所から、少しずつ同じ方向へ進んでいるように感じます。
ギズモード・ジャパンでは、記事の配信に加えてYouTubeによる動画展開を進め、テックストア「GIZMART」を運営しています。
さらに、Keychron Nape ProやKeychron Orca echoでは、完成した製品を紹介するだけでなく、編集部員の発想を起点として、メーカーと一緒に製品を作るところまで踏み込みました。
2026年5月に公開されたサイトリニューアルの記事で、尾田さんはメディアの役割について、次のように述べています。
メディアは、その熱量を見つけ、言葉にし、人や企業やコミュニティをつないでいく。
参考:
ギズモード・ジャパン、リニューアルしました。“みんなで探求する”テクノロジーメディアへ
私は、この言葉がこれからのWEBメディアを考えるうえで、非常に重要だと感じました。
メーカーが発表した情報を記事として読者へ届けるだけでなく、読者、作り手、企業、コミュニティの間に入り、新しい動きを生み出していく。
ギズモード・ジャパンが進めているGIZMARTやメーカーとの共同開発は、広告とは異なる収益源を増やす取り組みであると同時に、メディアが持つ役割そのものを拡張する動きのように見えます。
記事を起点として新しい価値へつなげる
動画全盛期といわれる昨今ですが、これからも「文字をベースとしたコンテンツ」は、人々の読み物として消えることはないでしょう。
やはり、文章には動画では味わえない深みに加えて、必要な部分を自分のペースで読み返し、短時間で論旨を把握できるという利点があります。
ただし、こうした文字メディアを取り巻く環境の変化で、記事だけでの収益化は難しくなってきているのも事実です。
これからは、記事そのものを広告によって収益化するだけでなく、記事を起点として、別の価値へつなげていくことが重要になると考えています。
専門性のある記事を継続的に公開することで、読者からの信頼が生まれる。
読者の反応を見続けることで、その市場で何が求められているのかが分かる。
メーカーとの関係を積み重ねることで、市場の要望を製品開発や販売方法へ反映できるようになる。
記事はそれ自体が成果物であると同時に、読者、メーカー、製品、コミュニティをつなぐ入口になっていくと考えています。
Greenkeysが海外ブランドとの関係を築き、市場レポートや販促支援、製品監修へ進んできたのも、記事を通じて専門性と信頼を積み重ねてきた結果です。
記事の価値がなくなるのではありません。
記事によって生まれた価値を、新しい商品を届けることや、新しい商品を開発することへつなげていく。
それが、Greenkeysの目指す新しいメディアの形だと考えています。
「WEBメディア2.0」の時代へ
あえて言葉にするなら、私はこの変化を「WEBメディア2.0」と捉えています。
従来のWEBメディアが、記事を作り、検索やSNSからアクセスを集め、PVを広告収益へ変えるものだったとすれば、これからのWEBメディアは、記事を起点として人や企業、商品、コミュニティをつなぐ存在へ変化していく。
動画、イベント、販売、共同開発、コンサルティングなども、すべてその延長線上にあります。
ギズモード・ジャパンは、大規模な読者基盤を持つテクノロジーメディアとして、GIZMARTやメーカーとの共同開発へ進んでいます。
Greenkeysは、広告収益が成立しにくいニッチジャンルから始まったため、海外アフィリエイトやメーカー支援を通じて、結果的に同じような方向へ進んできました。
ギズモード・ジャパンが大きな読者基盤から製品開発やコマースへ進んでいるとすれば、Greenkeysは専門性と海外ブランドとの関係を起点として、日本の読者へ製品を届ける仕組みを、結果として作ってきたのだと思います。
出発点も規模も異なります。
それでも、「メディアを起点として人や企業、コミュニティをつなぐ」という役割には、共通する部分があるように思います。
書き手個人の価値も高まっている
WEBメディアを取り巻く環境が変わるなかで、媒体名だけでなく、「誰が書いたのか」という点も以前より重視されるようになっています。
一般的な製品説明を生成AIでも作れる時代だからこそ、書き手の経験、判断基準、過去の発言との一貫性が記事の価値になります。
一方で、特定の編集者やライターに信頼やメーカーとの関係が集中すれば、メディア運営の属人化リスクも高まります。
Greenkeysも、私個人の判断や関係性に依存している部分が少なくありません。
属人性をなくせばよいという話ではなく、書き手の個性を残しながら、情報や制作工程、メーカーとの関係をどのようにメディアの資産として蓄積していくか。
これはGreenkeysが長く続くために、今後考えていかなければならない課題です。
Greenkeysも次の段階へ
尾田さんは20周年の記事を、次の言葉で締めくくっています。
成人式は、ゴールではありません。
Greenkeysは2022年に始まった、まだ4年ほどの若いメディアです。
ギズモード・ジャパンの20年と比べれば、ようやく歩き始めたばかりといえます。
それでも、この数年間でGreenkeysの役割は大きく変わりました。
キーボードの情報を紹介する場所から、日本のユーザーと海外ブランドをつなぐ場所へ。
完成した製品を伝える立場から、ときには製品が生まれる前の企画や、日本市場での伝え方について意見を求められる立場へ。
これはGreenkeysを始めた当初には、想像していなかった変化です。
検索やSNSのアルゴリズムも、広告の仕組みも、情報を受け取る方法も、これから変わり続けるでしょう。
だからこそ、特定のプラットフォームから与えられるアクセスだけに依存せず、Greenkeysだからできることを増やしていく必要があります。
記事を書くことは、これからもGreenkeysの中心です。
記事を通じて人と企業をつなぎ、日本ではまだ知られていない製品を届け、日本のユーザーの声を海外へ伝える。
ときには、新しい製品が生まれるきっかけを作る。
それが、これからGreenkeysが目指すメディアの形です。
ギズモード・ジャパン20周年、おめでとうございます。
20年という歩みを目の前にしながら、Greenkeysもまた、この先も長く続けられるメディアであるために、手探りではありますが、次の段階へ進んでいきたいと考えています。
- 初版執筆日:2026年7月31日
- 最終更新日:2026年7月31日
- 取材方法:なし
- 参照・引用元:ギズモードジャパン掲載コンテンツ
- 利益相反:商品提供:なし 本稿収益化リンク:なし
