アイキャッチ画像参照:Plot.
このソフトウェアはすごいぞ。
2026年7月1日、YouTubeチャンネル「monograph/ 堀口英剛」で、左右分割トラックボール付きキーボード「conductor」のプロトタイプ版のアップデート報告と、量産化に向けた開発状況が紹介されました。
conductorは、左右分割レイアウトとトラックボールを組み合わせたミニマルなキーボード。
QAZレイアウト(片側5列をベースとしたキーボード)を基本とし、オーソリニアレイアウト(格子状配列)を採用しているため、見た目としてはキーボードよりも「ガジェット」に近い感覚を持つ方も多いでしょう。
現在はプロトタイプ版がメンバーシップ向けに販売されています。
今回注目したいのが、このconductorを設定するための専用アプリ「conductor studio」の大幅アップデートです。
スモールキーボードを利用する上でもっとも大きなハードルとなる「キーマップを覚える作業」が劇的にスムーズになるアップデートが実装されました。
また、動画内では、このプロトタイプ版と並行して、量産版(工場で製作)についても同時並行で進めていることが明かされました。
販売時期については明言を避けつつも、「夏終わりから秋口ごろを目指して進行している」とのことで、すでにハード面・ソフト面である程度仕上がってきていることが推察されます。
昨今では、分割キーボードに注目が集まる中、17mmピッチキーキャップを採用したより少ないキー数のconductor製品版が、日本のキーボードシーンにどのように受け止められるか注目が集まります。
本記事では、「conductor studio」の大幅アップデートについて触れていきます。
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conductorとは

conductorは、左右分割型のコンパクトキーボードにトラックボールを組み合わせたキーボードです。
開発者はmonograph堀口氏。
片手5列×4行をベースとしたいわゆる「QAZレイアウト」キーボードとなっており、ホームポジションを保持したままタイピング・トラックボール操作が可能となっているのが最大の特徴といえます。
また、17mmピッチキーキャップを採用することで、さらにコンパクトな外観を実現しています。

近年では、Keyballシリーズを祖とした「左右分割トラックボール付きキーボード」への注目度が高まってきています。
今回のconductorのアップデートを見る限り、単にハードウェアとして分割トラックボールキーボードを作るだけでなく、専用ソフトウェアまで含めて「使いこなしやすさ」を高めようとしている点が大きな特徴といえそうです。
プロトタイプ版の製品仕様
- 左右分割型
- 親指19mmトラックボール
- 40キーの格子配列(オーソリニア)
- Kailh choc v2規格のロープロファイルキースイッチに対応
- 狭ピッチ(17mm)に対応したキーキャップ設計
- 無線接続
- ZMK Studioによるキーカスタマイズに対応
- 最大4台までのデバイスを切り替え可能
- 本体底面部に「MagSafe」対応のマグネットを装着
- USB-C充電
- 長時間のバッテリー(満充電で右手は約15日、左手は約1ヶ月半使用可能)
Plot.より引用。表現については一部変更しています。
プロトタイプ版は3Dプリント製品で且つ手作業で組み立てを行なっているため、積層痕や色の個体差がある旨がアナウンスされています。
conductorの「プロトタイプ版」のアップデート内容
動画で紹介されたconductorのアップデート内容について見ていきましょう。
アップデートは、ハードウェア部分(キーキャップおよびキースイッチの変更)とソフトウェア部分(conductor studio)に分けられます。
現在、「製品版conductor」の製造が進められており、「ようやく形になってきた」段階とのこと。
現時点では、あくまでも開発中の段階であり、正式な販売開始日や価格が発表されたわけではありません。
今回のアップデートはプロトタイプ版向けの内容ですが、製品版にも引き継がれる内容となっています。
キーキャップはPBT射出成形の「notra」に変更

ハードウェア面での大きな変更点のひとつが、キーキャップです。
これまでのプロトタイプ版では、3Dプリンターで製作されたキーキャップが使われていましたが、今後の頒布からはPBT射出成形キーキャップ「notra」が標準装備されるとのことです。
notraは射出成形商品となっているため、よりクオリティの高い製品品質のキーキャップとなります。
17mmピッチに対応した市販品のキーキャップは、Tai-Hao MT 165など限られた選択肢となっているため、3Dプリント製のキーキャップに満足できなかった方にとっては朗報と言えそうです。
キースイッチはKailh Choc V2ベースの35gリニアへ

キースイッチは、Lofree Specterからオリジナルのリニアスイッチへ変更されることが発表されました。
Kailh Choc V2ベースは引き続き継続し、押下圧は35gに設定されるようです。
素材は自己潤滑製の高いPOM素材が採用されるようで、Lofreeのキースイッチのようなスムーズな動作が期待されます。
conductor studio Macアプリ版が登場

今回のアップデートで特に注目したいのが、専用ソフトウェア「conductor Studio」の進化です。
conductor studioにはMacアプリ版が用意されました。
これまでのブラウザ版よりも軽快に動作するだけでなく、キーボード単体では実現しにくいPC側の挙動まで扱うために、アプリ版として開発されたと説明されています。
スモールキーボードの習得や操作方法の獲得には、ある程度のスイッチングコストが発生します。
conductor studioは、このスイッチングコストに対して、十分な支援ツールとして機能するよう作られている印象です。
conductor studio について
新たに発表されたconductor studio Mac版アプリについて見ていきます。
キーマップを画面上に表示できる

conductor studioでは、現在設定しているキーマップを画面上に表示できます。
スモールキーボードは、通常のキーボードよりもキー数が少ない分、不足しているキーを「裏レイヤー」へ配置する必要があります。
この配置方法は個人によって異なり、その配置を覚えることこそがスモールキーボードの最大のスイッチングコストとなっています。
これを劇的に解決できる可能性を秘めているのがこの「キーマップ表示機能」だと編集部では捉えています。
conductor Studioでは、画面上にキーマップを表示できるため、紙のチートシートを見たり、設定画面を開き直したりしなくても、現在のキー配置を確認しながら使うことができることは、学習コストを大きく下げることができるかもしれません。
表示サイズや透明度も調整できるため、作業中に邪魔になりにくい形で常時表示しておくことも可能です。
これは、単なる便利機能というよりも、レイヤーキーボードの「覚えにくさ」をソフトウェア側から補う仕組みといえるでしょう。
押したキーやレイヤーがリアルタイムに反応する

さらに興味深いのが、conductor本体とconductor Studioが連動する点です。
conductorとBluetooth接続すると、押しているキーが画面上のキーマップにリアルタイムで反映されます。
つまり、画面上のキーマップは単なる静的な画像ではありません。
実際に押したキーが視覚的に表示され、現在どのキーを押しているのか、どのレイヤーに入っているのかを確認できるようになっています。
レイヤーボタンを押した際も連動してキーマップ内容が変わるため、裏レイヤーにどのキーを配置したかがビジュアルでわかる。
この点は、スモールキーボードを使う上では革新的だと捉えています。
conductor Studioのリアルタイム表示は、スモールキーボードの学習コストを大幅に下げるためにもっとも相応しい機能といえるでしょう。
慣性スクロールにも対応。Macの操作感に近づける
conductor Studioでは、慣性スクロール機能も統合されています。
一般的なサードパーティ製マウスやトラックボールでは、Macのトラックパッドのような滑らかな慣性スクロールにならず、スクロール操作がカクカクした操作性になることがあります。
動画内では、これまでMac Mouse Fixを使っていた機能をconductor Studio内に統合したと説明されています。
慣性スクロールを有効にすると、スクロール時にスッと流れるような挙動になり、Mac純正トラックパッドに近い操作感を再現できるようです。
さらに、滑らかさや慣性の伸び方も細かく調整できるとされています。
ここまで細やかな調整ができるのは素晴らしいですね。
また、トラックボール操作時のカーソル加速度等についても詳細な設定が可能となったと説明されています。
キーマップ編集だけでなくコンボ、ジェスチャーにも対応

conductor Studioでは、キーマップそのものの編集にも対応しています。
キー割り当ての変更に加えて、複数キーの同時押しで別の操作を呼び出す「コンボ」機能も紹介されていました。
オリジナルであるzmk studioに関しては、GUIでキーマップ変更ができるようになったことに関しては素晴らしいですが、キー変更はプルダウンメニューから選択する必要があるなど、直感的な操作は現時点では難しい状態。
そういった面でこのGUIでキーマップ変更が直感的に行えるのは素晴らしいですね。
コンボやジェスチャーに関しては、IキーとOキーを同時押ししながらカーソル操作を行うことで、デスクトップ移動やMission Controlの起動といったジェスチャー操作を割り当てる例が示されています。
キー数が少ないキーボードでは、単純にキーを減らすだけでは操作性が落ちてしまう。
その代わりに、レイヤー、コンボ、ジェスチャーを組み合わせることで、物理キー数以上の操作を実現していく必要があるという面で、conductor Studioの使い勝手は非常に優れていると感じます。
デバイス別キーマップでMac/Windowsを使い分けられる
conductor Studioでは、デバイス別キーマップにも対応しています。
conductorは複数のBluetoothプロファイルを持ち、複数デバイスとの接続を前提とした使い方ができます。
動画内では、各デバイスに名前を付けて管理しやすくする機能に加えて、接続先ごとにデフォルトキーマップを割り当てられる機能が紹介されていました。
これは、MacとWindowsを併用するユーザーにとって特に非常に重要です。
MacではCommand+Cでコピー、WindowsではControl+Cでコピーというように、OSによって修飾キーの役割が異なります。
そのため、同じ感覚で使おうとすると、接続先ごとにキー配置を切り替えたくなります。
conductor Studioでは、MacBook、Windows PC、iPad、Android端末など、接続するデバイスごとにキーマップを作成し、割り当てることができます。
複数環境で同じキーボードを使いたいユーザーにとって、これはかなり実用的な機能といえるでしょう。
US/JIS「配列表示」切り替えにも対応
conductor studioでは、キーマップ設定の「表示」を「日本語配列表示」もしくは「英語配列表示」に切り替えることができます。
キーボードの入力信号は、受け取るOS側の設定によって異なります。
例えば、conductorを「日本語配列」としてOSに認識させたとします。
その場合、「2」のキーをShiftと同時押しすると、「”」として入力されます。
一方で、conductorを「英語配列としてOSに認識させた場合、「2」のキーをShiftと同時押しすると、「@」として入力されます。
このように、認識させる配列によって、キーコードのOS認識が異なるのです。
つまり、日本語配列環境でキーマップ変更をしたい場合でも、このUS/JIS切り替え機能がないと不便な状況となるのが用意に想像できるでしょう。
こうした配慮ができるのも、堀口氏が実際に分割キーボードを開発しつつ、様々な環境で入力してきた経験と、discordチャンネルでのフィードバックがあるからだと推察しています。
参考コンテンツ

分割キーボード普及はハードとソフトの両輪が重要
編集部では、分割キーボード普及のカギは、ハードの普及だけでなく、ソフト面でのアップデートが不可欠だと考えています。
特に、スモールキーボードでは、自身が設定した「裏レイヤー」にあるキーを画面上で可視化するという機能は、スイッチングコストを最小限にする上で非常に重要です。
現在ではまさに「分割キーボードブーム」が到来しつつあります。
このブームを一過性に終わらせない、「やっぱり難しいからできない」と思わせない工夫がこの機能だと考えています。
conductorはハードウェアとして分割トラックボールキーボードを作っているだけでなく、その入力体験をユーザーが習得していく過程まで含めて設計しようとしている点は、他の分割キーボードとは明確に異なる部分といえそうです。
アップデート版のconductor Studioの使い勝手を踏まえて、量産版がどのような仕様・価格で登場するのか。
Greenkeysでは引き続き追っていきます。
- 初版執筆日:2026年7月6日
- 最終更新日:2026年7月6日
- 取材方法:YouTube参照
- 参照・引用元:https://www.youtube.com/watch?v=4Lx_M3rmhAs
- 利益相反:商品提供:なし 本稿収益化リンク:なし

