ダイヤテックが閉業。FILCO / Majestouchが日本のメカニカルキーボード市場に残したもの

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この記事の位置づけ
本記事は、新製品・販売開始・仕様更新・キャンペーンなどの事実整理を目的としたニュース記事です。実機を用いた長期レビューや評価記事ではありません。提供・広告・収益化に関する情報がある場合は、本記事内に明記します。

2026年4月22日、FILCOブランドのキーボードで知られるダイヤテック株式会社は、事業を終了したことを公式サイトで発表しました。

同社はあわせて、通販業務やユーザーサポート業務で取得・保有していた個人情報についても、同日までに破棄・消去したと報告しています。

この閉業は、すでに複数の国内メディアでも報じられており、FILCOブランドやMajestouchシリーズで知られる老舗メーカーの突然の事業終了として、キーボードユーザーの間にも大きな衝撃が広がっています。

閉業理由については、現時点で公式サイト上では明らかにされていません。

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キーボード業界に衝撃が走ったニュース

Greenkeysとしてこのニュースを取り上げる意味は、単に閉業の事実を伝えることだけではありません。

事実関係そのものは、すでに大手メディアが報じています。

FILCOというブランドは、日本でメカニカルキーボードを語るうえで避けて通れない存在でした。

特にMajestouchシリーズは、ゲーミングキーボードやカスタムキーボードが今ほど一般化する前から、メカニカルキーボードを実用品として選ぶ人たちにとって、ひとつの基準点になっていた製品だと筆者は捉えています。

堅実な配列、しっかりした筐体、長く使える道具としての安心感に加えて、メカニカルキーボードでも日本語配列をしっかりラインナップしている。

FILCO / Majestouchは、「標準機」としての一つの参照点だったように思います。

ラインナップも幅広く、Majestouch MINILA-R Convertibleなどの小型機からMajestouch Convertible 3などのフルサイズキーボードまで展開していました。

最近では左右分割キーボード「Majestouch Xacro M10SP」を新発売するなど、精力的な様子も見られていました。

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画像参照:楽天市場

1982年設立、FILCOブランドを展開した老舗

ダイヤテックは、1982年6月17日に東京都渋谷区恵比寿で設立された企業です。

当初は半導体販売商社として業務を開始し、その後、液晶制御用コントローラの開発などを経て、パソコン周辺機器を扱う企業として歩んできました。

同社の会社概要では、本社所在地は東京都千代田区外神田、事業内容は「パソコン周辺機器の開発・輸入・販売」とされています。

その名をキーボードユーザーに強く印象づけたのが、FILCOブランドのMajestouchシリーズでしょう。

いまでこそメカニカルキーボードは、ゲーミング、カスタム、ロープロファイル、磁気スイッチなど多様なカテゴリに広がっています。

しかし、Majestouchが登場した当時、メカニカルキーボードは現在ほど一般的な選択肢ではありませんでした。

2004年、初代MajestouchとCHERRY MX

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画像引用:PRTIMES(2022年発表資料)

FILCO / Majestouchの歴史を語るうえで外せないのが、2004年に発売された初代Majestouchではないでしょうか。

ダイヤテック自身は2022年のMajestouch 3発表リリースの中で、初代Majestouchについて、メンブレンキーボードが市場を席巻していた2004年に、当時どの日本のキーボードメーカーも採用していなかったドイツCHERRY社のMXスイッチを搭載し、FILCOキーボードのフラッグシップモデルとして発売したと説明しています。

これは、現在の感覚で見る以上に大きな意味を持ちます。

いまでこそCHERRY MX互換スイッチは数多く存在し、メカニカルキーボードは趣味性の高い入力デバイスとして広く語られています。

しかし2004年当時、日本市場においてCHERRY MXスイッチを搭載したキーボードを一般ユーザーが選ぶことは、まだ決して当たり前ではなかったようです。

FILCO / Majestouchは、その選択肢を日本の市場に持ち込んだ存在といえます。

変わらないことにこだわり続けたブランド

Majestouchの特徴は、単にCHERRY MXを早く採用したことだけではありません。

ダイヤテックは2022年のリリースでも、初代Majestouchの発売から約20年が経っても、搭載するスイッチはCHERRY MXだけにこだわってきたと説明しています。

Majestouch 3について、2004年発売の初代Majestouchのケースデザインを引き継ぎながら、基板やマイクロプロセッサーなどを一新し、USB 2.0やフルNキーロールオーバーに対応したモデルとして紹介しています。

つまりMajestouchは、見た目を大きく変えながら流行を追うタイプの製品ではなく、一定の形を保ちながらスタンダードを保ち続けてきたブランドといえます。

「スタンダードを変えない姿勢」と「必要な部分を更新すること」のバランスに、FILCOらしさがあったのではないでしょうか。 

日本語メカニカルキーボードといえばFILCO

FILCOの存在感は、専門店や一部のキーボード愛好家の間だけに限られていたわけではありません。

FILCOのメカニカルキーボードは、少なくとも筆者の記憶では家電量販店でも見かけることがあり、メカニカルキーボードをより身近な選択肢として意識させる存在だったと捉えています。

筆者の住む新潟でも、ビックカメラの店頭でFILCOのメカニカルキーボードを見た記憶があります。

これは、メカニカルキーボード文化がまだ今ほど広がっていなかった日本において、かなり大きな意味を持っていたように思います。

海外通販や専門店にアクセスしなくても、量販店の店頭で「メカニカルキーボード」という選択肢に出会えること。

FILCOは、その入口を担っていたブランドのひとつでした。

現在のキーボード市場では、海外ブランドの参入、ホール効果スイッチを採用したゲーミングキーボード、ロープロファイルや分割キーボードなど、選択肢は大きく広がっています。

その中でFILCOは、最新トレンドの中心にいるブランドというより、長く変わらない「普通のメカニカルキーボード」を支えてきた存在だったように思います。

CHERRY側の再編と、ひとつの時代の終わり

もうひとつ象徴的なのは、Majestouchが長くこだわってきたCHERRY側も、近年大きな再編の中にあることです。

CHERRY MXは長くメカニカルキーボードの基準点であり続けてきましたが、現在の市場では、互換スイッチや磁気スイッチ、ロープロファイルスイッチなど、入力デバイスを構成する技術そのものが多様化しています。

ダイヤテックの閉業とCHERRY側の変化を単純に結びつけることはできません。

ただ、「CHERRY製キースイッチ」を基準にしたメカニカルキーボードの時代を象徴してきたFILCOが幕を下ろしたことには、どうしてもひとつの時代の区切りを感じます。

FILCOが残したもの

FILCO / Majestouchは、いまのようにキーボードが趣味として語られる以前から、メカニカルキーボードを日常の道具として選ぶ選択肢を用意してきました。

その功績は、いま振り返るほど大きなものだったように思います。

ダイヤテックの閉業は、キーボードユーザーにとって寂しいニュースです。

ただ同時に、FILCOが日本のメカニカルキーボード市場に残した足跡は、きちんと記録しておこうと、筆を取りました。

今回のニュースは、日本におけるキーボード産業の今後について、深く考えさせられます。

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