Keychron Orca echoプロトタイプ版ハンズオンレビュー。会場内の反応と親指トラボ位置の賛否はー天キーVol.11レポート

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コラム
この記事の位置づけ
本記事は、キーボード市場や製品動向についての筆者見解を含むコラム記事です。事実関係の確認に努めつつ、分析や評価には筆者の視点が含まれます。レビューやニュースとは異なる、意見性のあるコンテンツとしてご覧ください。

自作キーボード設計者からはどう映ったのかー。

2026年6月6日、Keychronの正規販売代理店である「コペックジャパン」は、天下一キーボードわいわい会Vol.11の出展ブースにて、Keychronとギズマートが共同開発を進めているキーボード「Keychron Orca echo」を日本国内で初めて展示しました。

本記事では、実機のハンズオンレビューと合わせて、イベント内で聞かれた「Orca echo」についての受け止められ方について整理していきます。

お断り:本コンテンツでは編集部および筆者の予測による記述が含まれます。販売後の製品仕様とは異なる場合があるためあらかじめご了承ください。また、記載内容と販売製品仕様が異なっていた場合に関しては責任を負いかねます。

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Keychron Orca echoハンズオンレビュー

Keychron Orca echoは、左右分割カラムスタッガードレイアウトを採用したメカニカルキーボードです。

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画像参照:https://www.youtube.com/watch?v=3l_U2QQ3CeM&t=28s

右手側に19mmトラックボール、左手側に水平ロータリーエンコーダー、さらには左右中央にタッチパッドを搭載した「全部盛り」仕様のキーボードです。

さらには、2段階のテンティング機構を備えます。

49キーの構成となっており、キーマップはKeychron Launcherを介して変更可能となっており、オンボードメモリ対応のためデバイス側に設定が保存される仕様。

左右裏面同士はマグネットで接合可能で、可搬性の面での配慮も見られます。

2026年6月19日から、ギズマートにてクラウドファンディング形式で販売開始予定となっています。


それでは、実際のOrca echoについてみていきましょう。

まずは、プレスリリースにて発表されていなかった部分からみていきます。

筐体についてはアルミニウムではなく、樹脂製となっているようです。

構造としては、トップフレーム下にボトムケースをはめ込むような構造と見られます。

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トップフレームは樹脂製で射出成形で作られるような印象
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ボトムプレートを嵌め込むような構造。固定方法については不明です。

マウント方法についても現時点では明記されておらず、モックではそこまではわかりませんでした。

テンティングについては2段階での調整が可能となっており、Cornixのような2脚をそれぞれ調整する形ではなく、通常のティルトスタンド形式となっていました。

短い足と長い足がついており、2段階でのテンティング角度調整が可能となっています。

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トラックボール支持機構は、モックでは人工ルビーを採用していました。

これがそのまま製品版となるかについては不明です。

モックでは逆さにするとトラックボールが脱落してしまっていたため、今後何かしらの脱落防止機構が備えられるものと見られます。

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左手側の水平ロータリーエンコーダーに関しては、モックということもあり左手親指の力で操作するにはトルクが強く回転させることが難しい状態でした。

こちらについても調整されていくものと見られます。

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キーキャップ形状については、現時点ではKeychron LSAプロファイル(やや中央部が窪んだスフェリカルスタイル)と見られるものが装着されていましたが、正式採用されるかどうかについては未定とのことです。

サムクラスタキーがコンベックス形状となるかどうかについても現時点では未定とのこと。

合わせて、キースイッチに関しても「検討中」との返答をいただきました。

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日本のロープロファイルメカニカルキーボードシーンで人気が高いのは、やはりKailh choc v2系です。
一方で、Keychronがスタンダードラインで採用しているのはGateron LowProfile 2.0系となっており、相互互換性がありません。
市販品の文脈で言えば、Lofreeが好きな人はKailh choc v2派、NuPhyが好きな人はGateron LP 2.0派となりそうです。

実際にタイピングしてみた印象としては、Corneのカラムスタッガードレイアウトに慣れている方であれば問題なくタイピングできる、といった印象です。

一方で、KeyballやmoNa2などの親指操作トラックボールスタイルと比較すると、明確にトラックボールの位置が異なります。

それらのキーボードに慣れたユーザーの場合は、トラックボールの操球感以上に、親指を置いておく位置を意図的に内側に置く、もしくはキーボード自体を、両端が上方向へ向く角度へやや回転させるなどの工夫が必要だと感じました。

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これに関しては好みの問題が大きいように感じます。

会場内の反応について

取材をして回る中で、やはりOrca echoに対する多くの声が聞かれました。

  • 一般ユーザーを対象としたキーボードでカラムスタッガードレイアウトはかなり攻めている
  • トラックボールの位置に疑問がある。ホームポジションで親指が触れる位置にあるのは不便かもしれない
  • トラックボールがあればタッチパッドは使わないかも
  • 親指キーが少ない
  • 親指キーの位置が若干沈んでいる
  • 親指キーの直下のフレームを薄くして押しやすくしてみてはどうか
  • 親指キーはコンベックス形状の方が良いのでは
  • アルミボディが良かった
  • 本体が軽くて動かないか心配

コメント内容は編集部で整理した状態でありインタビュワーのコメントそのままを掲載しているわけではありません。ご了承ください。

やはり、自作キーボード界隈の目線からすると、トラックボールの位置について気になる点が多いという印象を持ちました。

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親指を置いた位置にトラックボールが位置するのは、操作性という意味では理にかなっています。
一方で、キーボードとして見た場合、カーソル操作よりもタイピングをする時間の方が長いため、親指を置いた位置にはトラックボールではなくレイヤーキーがあるべきだ、という主張も理解できます。
ただし、これは「設計思想」の違いという側面が大きく、個人によって捉えられ方が大きく異なるため、議論が並行線となりやすいのも事実です。
こうした懸念は、実際に分割キーボードやトラックボール付きキーボードを使い込んできたユーザーだからこそ出てくる、重要な視点でもあります。

Orca Echoは、市販品として分割トラックボール付きキーボードの入口を作る意義は大きい。

その意見は共通していました。

やはり、初心者にとって自作キーボードキットのハンダつけのハードルは非常に高く、「使いたくても使えない」というユーザーも多くいることでしょう。

その意味で、「完成品として買えるキーボード」という立ち位置で、Orca echoの存在は非常に大きいと感じています。

しかし、49キー・カラムスタッガード・レイヤー前提・親指位置トラックボールという構成はかなり尖っているのも事実。

そのため、初心者向けの入口として本当に適切なのか、という懸念があるのも当然でしょう。

Keychron Orca echoの製品としてのポジションについて

まず初めに、市販品キーボードと自作キーボード文化は、対立構造ではありません。

筆者としては、入力機器というジャンルの中で、お互いの立ち位置を尊重しながら高めあうような関係にある、と捉えています。

一方で、入力機器というジャンルは共通しているものの、目指す方向性は性質は全く異なります。

つまり、その性質を踏まえない中での「文化」という切り口で論じてしまうと、対立が起きやすい構造になっているというのも事実です。

これらを整理しながら、Orca echoの立ち位置について考えていきます。

天キー来場者の多くはキーボードファンでありキーボード設計者

当日展示されたのは製品版ではなくモック品(プロトタイプ版)となっており、興味を持った多くの方が手に取ってその操作感を確認していました。

展示されたのはキーボードミートアップとしては日本最大規模のイベントである「天下一キーボードわいわい会Vol.11」の企業ブース。

当日は多くの自作キーボード設計者をはじめとするキーボードファンが集まりました。

つまり、手に取った人の多くは「キーボードファン」であり、「キーボード設計者」だった可能性が高いと考えられます。

Keychron Orca echoは、ギズモードジャパン編集部の中橋氏が中心となって開発を進めている左右分割カラムスタッガードレイアウトのキーボードです。

ギズモード側の解説では、Orca echoを「自作キーボードのエッセンスを取り入れた製品」と直接表現しているわけではありません。

ただし、キー数削減、レイヤー、カラムスタッガード、分割、トラックボール統合といった設計要素は、自作キーボード文化で発展してきた考え方と強く重なります。

動画内でも「自作キーボードの願いを叫び続けた結果ここまでたどり着いた」と語られており、実質的には自作キーボード由来の思想を市販品に落とし込んだ製品として捉えても差し支えないように感じました。

自作キーボードと市販キーボードの違い

一方で、自作キーボードと市販品では、明確に「向かう方向性や目的」が異なります。

自作キーボードは、基本的に「自分にとって理想的な入力体験」を追求する文化です。

配列やキーの数、ポインティングデバイスの位置まで、自分の手や作業環境に合わせて設計できることが大きな魅力です。

一方で、市販キーボードには、より多くの人が理解し、購入し、使い続けられる形にまとめる役割があります。

個人にとっての最適解をそのまま再現するのではなく、使いやすさ、説明しやすさ、価格、サポート、量産性とのバランスを取る必要があります。

つまり、リーチしようとする「範囲の広さ」が異なるのです。

自作キーボードが「自分や自分の考えに共感した人に届ける」という、自分を中心とした周囲に限定されるのに対して、市販キーボードは「一般的なキーボードファンを含むより多くの人々に届ける」という広大な範囲にリーチする必要があるといえます。

Orca echoが目指す方向性

一方で、自身の「使いやすさ」を追求して作ったデバイスが多くの人に受け入れられるケースが存在する。

それが「Keyball」や「moNa」だった、という位置付けだと筆者は捉えています。

おそらくは、設計思想や使用感が「自分の周囲だけでなくそれよりももっと多くの人が共感しうるもの」だったのではないでしょうか。

Orca echoは、自作キーボード的な思想をそのまま市販化した製品というよりも、その「多くの人に受け入れられた自作キーボードのエッセンスを一般ユーザーにも届く形へ再構成したキーボード」だと筆者は捉えています。

中橋氏の解説から見えてくるOrca Echoの設計思想は、単に“分割キーボードを市販化する”ことではなく、入力体験全体を見直すことにあります。

動画内で語られたOrca echo設計に対する想い

  • より良い入力体験へのアップデート:Orca Echoの設計思想の中心にあるのは、「左右分割キーボードを作ること」そのものではなく、タイピングやカーソル操作を含めた入力体験全体をより快適にすること。
  • ホームポジションから手を動かす距離を減らすこと:数字キーやファンクションキー、マウス・トラックパッドへの移動を減らし、できるだけ手元の範囲で入力や操作を完結させることを重視している。
  • タッチタイピングしやすいキー配置にすること:数字段やファンクションキーのような「指の射程圏外」にあるキーを見直し、レイヤー機能によって数字や記号を扱いやすくする発想がある。
  • ロースタッガード配列の不自然さを見直すこと:タイプライター由来の横ずれ配列ではなく、指の動きに合わせて縦方向に揃えたカラムスタッガード配列を採用することで、より自然なタイピングを目指している。
  • 少ないキー数でも使いやすいバランスを探ること:極端にキー数を減らすのではなく、導入のしやすさと入力効率のバランスを考えた結果、49キー前後という構成に落とし込んでいる。
  • 数字入力を感覚的に扱えるようにすること:削減された数字キーは単純にレイヤーへ押し込むのではなく、テンキー型に配置し、さらに「5」に相当する位置にホーミングを設けるなど、ノールックで扱いやすい工夫がある。
  • キーボードとポインティングデバイスの往復を減らすこと:トラックボールを内蔵することで、キーボードからマウスへ手を移動する回数を減らし、入力とカーソル操作を近い場所で行えるようにしている。
  • トラックパッド的な直感操作も残すこと:トラックボールだけでは補いきれないMission Controlやウィンドウ操作などの直感的な操作を、上下スライド式のトラックパッドで代替しようとしている。
  • 自然な姿勢で使えること:左右を分割し、テンティング機構を備えることで、肩を開き、手首をひねりにくい姿勢でタイピングできることを目指している。
  • 分割キーボード未経験者にも届くこと:自作キーボード的な要素を取り入れながらも、完成品として購入でき、デフォルトキーマップやKechron Launcherによる設定変更を通じて、左右分割キーボードを初めて使う人にも導入しやすい製品にしようとしている。

参照:https://www.youtube.com/watch?v=3l_U2QQ3CeM&t=28s

動画視聴および文字起こしにより内容をまとめています。

まとめ

以上、Orca echoについてのハンズオンレビューをお伝えしてきました。

Orca echoは、KeyballやmoNaのような既存の分割トラックボールキーボードを置き換える製品ではありません。

また、自作キーボード界隈における最適解をそのまま市販化した製品でもないでしょう。

むしろ、自作キーボード文化の中で育まれてきた「手を動かす距離を減らす」「親指を活用する」「自然な姿勢で入力する」「ポインティングデバイスを統合する」といった考え方を、完成品としてより多くの人に届けようとする製品だと感じました。

その意味で、Orca echoは万人向けのキーボードというより、普通のキーボードに不満を感じ始めた人に向けた、新しい入口です。

49キー、カラムスタッガード、レイヤー操作前提の入力体験、トラックボール搭載のオールインワンデバイスという構成は確かに尖っています。

だからこそ、合う・合わないは出るはずです。

しかし、完成品として購入できる分割トラックボールキーボードが登場すること自体には、大きな意味があります。

Orca echoをきっかけに、分割キーボードや自作キーボード的な入力体験に興味を持つ人が増えるのであれば、それはキーボード市場全体にとっても前向きな変化といえるでしょう。

これをきっかけに自作キーボードジャンルに興味を持つ人が増えたり、「入力体験」ということ自体に目を向ける人が増えることは、キーボード市場全体にとって大きなプラス要素となります。

Orca echoの登場がキーボードシーンにどのような変化をもたらすのか、今から楽しみで仕方ありません。

すべての人に勧められるキーボードではありませんが、普通のキーボードに物足りなさを感じ始めた人にとって、Orca echoはかなり面白い入口になるはずです。

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河村 亮介のアバター 河村 亮介 Greenkeys chief editor

日本のキーボード専門メディア「Greenkeys」編集長。GreenEchoes Studio代表。

メカニカルキーボード、自作キーボード、入力デバイスに関するレビュー・取材・検証・撮影・執筆を担当しています。これまで100製品以上をレビューし、日本語配列キーボードの互換性問題や国内市場動向についても継続的に情報発信しています。

日本語配列キーボードの互換性向上を目的とした業界連携プロジェクト「Japan Layout Alliance(JLA)」を設立し、国内外メーカーと協力した活動も行っています。

Greenkeysでは編集の独立性と透明性を重視し、提供品・広告・アフィリエイトの有無を記事内で明示しています。取材・執筆・製品監修・日本市場向けの情報設計に関するご相談も受け付けています。

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